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2018.10.25 17:00

ジャック・マーが「中国の富豪ランキング」トップに復活

1位 : ジャック・マー(Photo by Wang HE/Getty Images)

米中の貿易摩擦への懸念の高まりを受けて、中国の株式市場は大幅に下落し、富豪たちの多くは財産を減らした。フォーブスが毎年、中国で最も裕福な400名を選ぶ「チャイナ・リッチリスト(China’s richest)」では、昨年登場した人の4分の3以上が資産を減らし、93名がランキングから消えた。

昨年の首位だった不動産企業「恒大集団」の許家印は3位に沈み、1位に浮上したのがアリババのジャック・マーだ。マーの資産額は346億ドル(約3.9兆円)に達し、2004年以来初めて首位に返り咲いた。しかし、そのマーですら昨年から40億ドルもの資産を失った。

2位には昨年と同様にテンセントのポニー・マーが入ったが、彼も昨年から62億ドルを失っていた。今年のランキングで、2番目に大きな資産額の下落を記録したのが、7位の宅配便事業を手がけるSFエクスプレス(順豊)のワン・ウェイで、下落幅は33%に及び、74億ドルを喪失した。

また、アリババに次ぐEコマース業界の巨人であるJD.comのリチャード・リウも、同社の株価の大幅な下落により、34%の資産を喪失し、現在の資産額は62億ドルで30位となっている。株価の下落の背景には、彼が米国のミネアポリスに滞在中に、女子大生への暴行疑惑で逮捕されたことがある。彼は逮捕の翌日には釈放され、JD.com側はリウの逮捕は警察の誤認だったと述べている。

一方で、減速が伝えられる中国経済のなかで、資産を増やしたメンバーも2人いる。ネットを通じた飲食店や旅行の予約、宅配サービスなどを手掛ける美団点評は、9月6日に上場を果たし、CEOのWang Xing(王興)は昨年の40億ドルから今年は51億ドルにまで資産を増やし、37位に浮上した。

また、シャオミCEOのレイ・ジュンもIPOにより、昨年の68億ドルから今年は119億まで資産を増やし、11位に入った。スマホメーカーのシャオミの時価総額は350億ドルに達している。

今年のランキングにはテック業界から新たに12名が加わり、そのなかには格安Eコマースで勢力を伸ばす拼多多(ピンドォドォ)CEOのColin Huang(12位、資産112億5000万ドル)がいる。

フォーブスは本ランキング作成にあたり、10月12日時点の株価を参考にした。下記に2018年度の中国の富豪、上位10名を掲載する(氏名の後ろのカッコ内は年齢)。

1位:ジャック・マー(54)/346億ドル(アリババ/Eコマース)
2位:ポニー・マー(46)/328億ドル(テンセント/インターネット関連)
3位:許家印(60)/308億ドル(恒大集団/不動産)
4位:王健林(64)/227億ドル(ワンダグループ/不動産)
5位:何享健(76)/195億ドル(美的集団/家電メーカー)
6位:楊惠妍(37)/171億ドル(碧桂園・カントリー・ガーデン/不動産)
7位:ワン・ウェイ(48)/149億ドル(SFエクスプレス(順豊)/宅配便)
8位:ロビン・リー(49)/146億ドル(バイドゥ/インターネット関連)
9位:リー・スーフー(55)/142億ドル(吉利汽車・Geely Automobile/自動車メーカー)
10位:ウィリアム・ディン(47)/135億ドル(ネットイーズ/オンラインゲーム)

編集=上田裕資

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