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デザインとビジネスの交差点

「hey」の 佐藤裕介

2018年2月、ECサービス事業を展開する「STORES.jp」と決済プラットフォーム「Coiney」を運営する2社が経営統合。これに伴い、誕生したhey。

オリジナルTシャツの販売など、ユニークな仕掛けを展開するheyの佐藤裕介は「ビジネスとクリエイティブ」について、どう考えているのか──。

前編ではhey立ち上げの経緯について伺った。後編では、ビジネスとクリエイティブの関係性、そして佐藤のクリエイティブの根源について話を伺った。

heyが目指すのは「応援される会社」

土屋:先ほどはheyを立ち上げた経緯について話を伺いました。続けて、heyの経営コンセプトを教えていただけないでしょうか?フリークアウトとheyでは経営手法は異なる気がしています。

佐藤:そうですね。簡単に言えば、heyは「応援されるチャーミングな会社」を目指しています。インターネットサービスの運営における、成功のためのチェックリストというか、フォーマットのようなものが多く共有されるようになってきたのですが、近頃の20代の経営者はすでにその方程式を理解し、実践している。ネット事業運営のフォーマットが十分に出来上がっていて、一定の品質では経営できるようになってきています。

だからこそ、そんな時代には「目に見えないアセット」を積み上げることが大切だと思っていて。フォーマットがカバーしない部分で、獲得すべき資産とその資産の活用法を結びつけ、業績につなげられるよう意識しています。

CoineyもSTORES.jpもすでに顧客基盤があり、成長しているサービスだったので、hey 統合前に考えていた私自身の重要な役割は、ひとまず財務基盤の強化と、事業成長を加速する採用、ひいては採用ブランドの確立であると考えていました。統合後、採用に限らず heyというブランドをどのように定義し、どうつくり、どう成長を後押しする資産としていくかに集中しました。



いま必要なのは、経営者とクリエイターをつなげる存在

土屋:デザインは経営にどのような影響を与えると思いますか? 経営サイドにデザイナーがいなかった時代は過去のものとなり、今後、経営者がクリエイターをどう使っていくのか、という話でもあると思います。

佐藤:人間を中心にして課題解決をしていく。この一連のプロセスをデザインと考えるならば、私はひとりひとりのユーザー、というよりは人類の脳みその変化をデザインのとっかかりとして考えています。例えば、こういうテクノロジーが生まれて、数年接したことで、人間の感性とか常識、判断基準などが無自覚にどう変わり、その変化に基づいた新しい気持ちのよい体験とはなにか、というように大きな枠組みから物事を考え、仮説を絞っていきます。

それを踏まえると、いまは土屋さんのおっしゃった通りの流れになっています。多少の差別化のポイントはあるにせよ、ビジネス的思考から生まれたものはコモディティ化している。

だからこそ経営者にも、ユーザー目線を持って課題解決できる素養が求められています。例えば、昨今は正しくボタンを配置しただけではユーザーに満足してもらえない。表面化していないニーズを読みとって、それを具現化してくことが必要です。ユーザーの変化の方向に先回りして待ち構えておけるようなデザインが必要です。

土屋:昔はクリエイターと経営をつなぐ人がいませんでしたが、今後はこの両者をつなげられる人材が大切であるということですね。

佐藤:昔よりも平均的な経営は簡単になっています。エンタープライズ向けのクラウドサービスがたくさん出回ったことで、経営者がデザインの技術を身につけるよりも、デザイナーが経営のケイパビリティーを獲得する方が容易になっていると思います。

これはフロントエンジニアとデザイナーの関係に近いですね。いまはフロントエンドコーディングが簡単にできるようになっているので、デザイナーがケイパビリティをもっていますよね。

土屋:僕の周りにいる若いCXO職の人も同じような感覚をもっています。アメリカだとMBAのカリキュラムにデザインを取り入れて、手法としてデザインを理解させるのが一般的になっています。経営者をデザイナーにする考え方ですね。

佐藤:個人的にはデザイナーが経営者になる方が簡単だと思っています。ユーザーの気持ちを理解できる人材の育成は、本質的には難しいと思っているからです。

スキルとしてのデザインもコモディティ化していくはずですが、本質の考え方はそうなりづらいでしょう。経営の手法はパーツ化、クラウド化していて、それらは獲得可能になっています。

文=野口直希 写真=小田駿一

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