── 一見、順風満帆なキャリアに見えますが、そこから起業された理由はなんだったのでしょうか?
子会社社長時代は、「関わる人を幸せに」出来ていたんですね。社員もみんなイキイキと働いてくれていたと思います。
しかし、あるタイミングで、私が本社の一番大きな事業立て直しのために、本社に呼び戻されたんです。200名くらいの部下をもつ事業責任者になり、さらには立て直し人材として子会社で集めた優秀な人材に戻ってきてもらうために、泣く泣く子会社の吸収合併も実行しました。
親が調子悪い時に子が元気でも仕方ないので、その責務を全うし1年で立て直しを実現させたのですが、そこで改めて「志」を振り返りました。
インテリジェンス本社は、すごい組織ピラミッドが出来上がっている会社で、私がイメージしていた組織像とは少し異なっていました。私は、働く人たちがメチャクチャ楽しくて、イキイキとしていて、関わる人がみんな幸せになれるような組織を作りたい。そう強く思い直しインテリジェンスを退職し、起業しました。
起業家の素養は困難なときほど問われる
──お話から古巣のインテリジェンスに対しても、仁義というか、「人間性」を大切にされていることが伺えます。
それは絶対条件です。余談ですが、私は前職のインテリジェンスから人を一人も引き抜いたことはありません。これも、前職に対して仁義を貫いている一例です。他にも、創業当初はインテリジェンスと競合するHR領域のビジネスは避けていました。ただ、餅は餅屋で、どうしてもHR領域のビジネスを色々と思いついてしまうんですね。
これは避けていてはダメだということで、『Green』の立ち上げ前にはインテリジェンスの当時の社長である鎌田さんに「申し訳ないですけれど、HR領域の事業を立ち上げます。必ず恩返ししますので。」と言いに行きました。こういう順序は大切だと思っています。
「人間性」や「仁義」なき人に、人はついてきてくれません。他の人に対してずるいことをやっている経営者って、社員からすると自分もいつか裏切られるかもしれないと思ってしまいますよね。これでは信用してもらえません。事業の調子がいい時は人はついてくるかもしれないけれど、そうやって近づいてきた人は調子が悪くなるとみんな離れてしまいます。困難な時ほど経営者の「人間性」や「仁義」が問われると思います。
連載 : 起業家たちの「頭の中」
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