ビジネス

2018.10.26

困難なときほど、経営者は人間性と仁義が問われる|新居佳英

アトラエ代表取締役 新居佳英

求人メディア『Green』やマッチングアプリ『yenta』など、オリジナリティあるサービスを次々と展開し、成長を遂げてきたアトラエ。社員の意志を最大限尊重する組織文化でも知られ、2016年6月に東証マザーズへ上場、2018年6月に東証一部への市場変更も果たした。同社代表取締役の新居佳英氏に、起業家の素養や、組織文化のつくり方などをドリームインキュベータの下平が聞いた。(全6話)

新卒3年目で子会社社長への大抜擢

──起業家の素養(として挙げられた「人間性」に関しては、どのように養われてこられたのでしょうか?

「人間性」に関しては、元から高かったわけではありません。

26歳の頃に前職のインテリジェンスの子会社社長をやらせていただいたこと、そしてリーマンショックの苦境を乗り越えたこと。この2つの経験によって養われた部分は大きいですね。

──「サラリーマンにはなれない」とおっしゃっていた新居さんが、インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社し、働き続けることが出来た理由はなんだったのでしょうか?

最終面接で、当時社長だった宇野さんに「1年で起業しますが、それでもいいですか?」と聞いたら、「面白いね、いいよ」と言っていただいたのが入社の理由です。その後、結局インテリジェンスには子会社社長も含めて5年半在籍しました。

1年で辞めずに続けた理由は、1年では自分でビジネスが作れるイメージが持てなかったということです。これは修行不足だと思い、続けることにしました。2年目の時に「自分でもできる」という実感を得た瞬間がありました。そこからは、週末はいつも事業計画ばかり書いていました。そうしていたら、その動きが何人かの同僚にバレてしまい、社長室に呼び出されてしまったんです。

そうして、社長に「お前色々動いているらしいじゃないか」と聞かれました。「はい、あと2、3カ月で辞めようと思います」と言ったら、「それなら、子会社社長をやれ」という話を逆にいただきました。結果的に、新卒3年目の最初から、いきなり子会社社長になることになりました。



人の人生を背負う中で身につけた「人間性」

──インテリジェンスの子会社社長時代のご経験もお聞かせください。

子会社社長は擬似的な起業体験でした。自分の給料は自分で決めていましたし、社員の給料や採用、社名、オフィスなども全て決めていました。インテリジェンス側は一切口を出さないで自由にやらせてくれたので、すごく勉強させてもらいましたね。

その時に身につけたのが「人間性」です。社長として、人の人生を預かる経験をする中で、「自分だけが成功することになんの意味もない。みんなが幸せになってくれないと」と強く感じたんです。リーダーとは、そういうものだと。

もともとガキ大将キャラだったのでリーダー気質ではあったのですが、「近しい仲間だけを幸せにする」という考えから、社長になって幸せにしたい仲間がどんどんと増えていった。その過程で、利己的ではない、経営者としての「人間性」が磨かれていったように思います。
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文=下平将人 提供元=Venture Navi powered by ドリームインキュベータ

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