祈りや瞑想をして育った子ども 心がより健康になる可能性

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その他の調査では、瞑想や祈りを捧げると、脳の中で自己のことを考える中枢(自分に関係があることを心配するときに活性化する部分)が静まるとともに、外の世界を「他者」として認識する部分の機能が停止する。このことから、宗教やスピリチュアリティーは、自分のことばかり考えがちな傾向を改善し、自分と他者の分離感を弱めることで、心の健康に良い影響を与えていることが示唆されるかもしれない。

うつ病の症状の緩和や注意力・創造性の強化など、瞑想が脳や心の健康に与える効果は多くの研究により示されている。また、畏敬の念を抱く体験をしたり、自然や静寂の中で時間を過ごしたりすることが幸福感や健康の改善につながることを示す研究もある。こうしたことが実現する仕組みも、今回の調査で取り上げられた仕組みと関連している可能性が非常に高い。

ただ、今回発表された新調査にも欠点はある。同調査は、社会経済的地位などの交絡変数の制御を試みてはいるものの、対象者の大半は社会経済的地位の高い白人女性だ。今後はより多様な調査対象を用いて調査を再実施し、同様の現象がその他の人口集団でも見られるかどうかを確認する必要がある。

それまでの間は、瞑想や祈りに少しでも時間を費やした方がよさそうだ。従来のような信仰心を持たない人でも、自然や夜空など自分より大きなものを観察することで、同じ仕組みを活用できるかもしれない。この研究は他の多くの調査と同様、瞑想や祈りなど人類が何千年も続けてきた根本的な習慣が、実は私たちが思っているよりも高い価値があるかもしれないことを示している。

翻訳・編集=出田静

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