組織の活性化を妨げる「同調性」はどう乗り越える?

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イノベーションが進まない原因?

コンフォーミティが悪く作用するケースは、例えば、企業の新規事業など、イノベーションを創造したい場面に多いと言われています。メンバーのクリエイティビティや多様性が失われるからです。

クリエイティブに新しいモノを発明したり、人とは違うアイデアを発案したりする人たちが、まずコンフォーミティの被害を受けます。そのうち、同調的な空気が組織内に広がり、すべての人が波風を立てたくないと、発言や行動が控えられていきます。

では、どうすれば組織はコンフォーミティを抑え、メンバーのクリエイティビティと多様性を活性化していけるのでしょうか?

それには、役割を固定せずに、メンバー一人ひとりの存在や違いを認める必要があります。その人の仕事上のスキル以外に、その人自身のキャラクターや趣味、嗜好、価値観も受け入れ、尊重し合うカルチャーづくりがカギとなります。

また、Contrarian(反対意見をとる人)を自然に受け入れる組織にしていくことも重要です。Contrarianは本来の目的を問いかけ、組織が向かっている方向を、外からみるという視点を与えてくれます。

同調性は若い人ほど陥りやすい

コンフォーミティのもう一つの特徴として、基礎知識の乏しい10代などの若い人ほど陥りやすいという点もあります。20世紀型の学校教育方式である、「大人数の生徒に対して先生1人」という授業のスタイルは、コンフォーミティを増長させてしまう環境であるともいうことができます。とすると、個人差を尊重するような教育方式を模索していくのは、解決策のひとつかもしれません。

人間が集団で活動していくには、完全にコンフォーミティをなくすことはやはり難しいでしょう。しかし、コンフォーミティの存在とその作用を認識することで、悪影響を減らすことはできます。

クリエイティビティや多様性がいきる組織づくりをし、ときには反対意見も取り入れながら、事業や課題に柔軟に取り組んでいくことが重要なのではないでしょうか。

連載:未来の大学で出会った「新しい学びのかたち」
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文=橋本智恵

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