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2018.10.26 11:30

沸騰する中国の内装市場で、日本の企業は生き残れるのか?


ショールームの開幕式に登壇した村越は、中国の内装市場は「内装済みの部屋(新築)」「スケルトンの部屋(新築)」「中古住宅のリフォーム」の3つに分かれると説明している。最近の消費者は従来型の内装業者ではなく、「オンライン内装業者」を活用するケースが増えているとも語る。

「購入相手を信用するのが難しい社会ですが、ネットが介在することでプロセスが透明化され、オンラインで呼んでショールームで見せ、購入につなげるOtoO(Online to Offline)の販売手法が一般化してきました。弊社でもeコマースを始めていて、木製ドアなどをアリババで販売しています。実物を店舗で見せて、もっと高級なものへと誘導する。ドアだけ買いに来たけど、床材も買ってもらおうとお客様を導く。この動きは日本より進んでいます」


今年6月、ショールームの開幕式で中国消費者の6つの悩みを解説する村越

中国の消費者が抱える6つの悩み

一方、中国の消費者は、購入の「前」「中」「後」で、以下の6つの悩みを抱えていると、村越は分析する。

(1)建材市場を走り回り、時間と労力を多く使う
(2)ブランドの数が多く、品質が安定せず心配
(3)個別予算は微増でも、総額では大幅な予算超過
(4)商品単体での配送設置で進行管理ができず、統一的な調整が難しい
(5)購入ルートがありすぎて、販売後も複数社とやり取りしなければならない
(6)異なる店舗で購入しているため、最終的なスタイルが不統一になってしまう

簡単に説明すると、購入前の悩みとしては、(1)に加え、(2)グローバルブランドの大量進出や驚くほど多数の国内企業の商品があるため選択肢が過剰で、品質への要求やデザイン感覚も多様化するなか、消費者は何を基準に選べばいいか難しい。

購入中は(3)で、キッチンやトイレなど個別に購入するため、結果的にコストがかかる場合が多い。さらに(4)について村越はこう話す。

「このやり方ではトータルコーディネイターが不在になります。各メーカーや建材業者は自分の担当することだけやればいいと考えている。そのため、キッチンを最初に設置すると、ドアがうまく開かないなど、仕上がりが悪い。水道の蛇口やトイレットペーパーの位置がおかしいといった、日本では信じられないこともしばしば起きるのです」


上海の某百貨店のトイレは外国製を使っているが、スペースがあるわりに、便器と手洗い場が近く、バリアフリーの手すりもあり、座り心地が悪い。中国ではこういう設計上の不具合がよく見られる。

2000年代以降、中国の都市部に出現した高級外資系ホテルのいくつかに宿泊したことがあるが、客室内の個々のモノは海外製で品質は良くても、間取りが不自然で配置が悪く、使い勝手の悪さに呆れたことが多々あった。そうなるのも無理はない事情があったのだ。

さらに購入後は、(5)アフターケアを購入先ごとに頼まざるを得ないし、(6)当初はシンプルモダンな内装をやりたいと考えていても、キッチンはヨーロッパ風なのにバスは日本風と、トータルでみると不統一なスタイルになりがち。消費者自身が現場監督というのでは、本来相当無理があるのだ。

「結果的に、すぐに壁の塗料がとれたり、水漏れが起きたり、扉が開かなかったりと不具合が起こる。中国では一般に8~10年に1回、内装をリフォームするのはそのためです。それが内装市場の拡大した理由でもあるのですが、我々としては中国のお客様にこれらの労力や悩みを解決してあげたい。それが差別化になると考えています」
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文・写真=中村正人

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