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国境は知っている! 〜ボーダーツーリストが見た北東アジアのリアル


とはいえ、これだけ問題があっても、他人に任せず自分でやりたいのが中国の人たちなのだ。そんな彼らにいかに訴求していけばいいのだろうか。

中国で商いをするとき、知っておかなければならない、もうひとつの現実があると村越は言う。それは、彼らの中に厳然たる国別の評価の序列認識があることだ。これは住宅設備に限った話ではないが、トップはドイツやイタリア、フランスで、次にアメリカ、そして日本、以下、韓国、台湾、とローカル企業が続く。

残念ながら、こうした彼らの固定観念に抗っても仕方がないところがある。つまり、欧米ブランドと勝負しても始まらないということなのだ。村越は続ける。 

「だからこそ、日本のよく考えられた、使いやすい、安心安全で耐久性がいいところを推していかないと生き残れない。グローバルブランドがひしめく中国では、日本企業の強みを出さないと、そもそも存在意義がない。商品の質だけでなく、サービスの品質を提供していきたいと考えています」

想定するターゲットは明確だ。これまで見てきた若い世代の新居需要は、実のところ、それほどおいしい市場ではないという。マンション価格が高騰した現在、それほど内装にはコストもかけられず、中古物件から住み始めることが多くなっているからだ。

狙いは、その世代に子供が生まれ、教育を考え始める頃から、つまり、30代から40代後半の住み替えやリフォームの需要だ。こうなると、最初に住んでいた家に不満があることは、むしろ好都合といえるかもしれない。

「まずは設計士にショールームを事務所のように使ってもらい、お客様に来ていただく。建築のプロと我々商品のプロが手を取り合って接客していきたい」と話す村越だが、市場の変化が速い中国で、長く独自の地位を保つには、口コミが重要だという。

LIXILグループでは、以前紹介した中国の内装専門のSNS「好好住」を活用し、室内ドアのプロモーションに利用している。今年5月、ユーザーによる施工事例コンテストを行ったところ、1000枚以上の投稿があり、そこから優秀案例を選び出した。その後、受賞者のお宅を訪問し、彼らのインタビューの模様をネットで拡散させている。


(左)キッチンやトイレなどの住宅設備もネットで販売、(右)中国の内装専門のSNS「好好住」のLIXILのページ

「日本では直接エンドユーザーを相手に商うことはないから、蓄積されたノウハウはない。だから、これまでの商い方をまったく変える必要がある。仮説を立て、プロセスを見ながら、ダメならすぐやり方を変えていく。模索を続けるしかないが、それはとても面白い」そう彼は今後の抱負を語っている。

連載:ボーダーツーリストが見た北東アジアのリアル
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文・写真=中村正人

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