子どもと学ぶ「モノの価値ってなんだろう?」

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「モノの価値」とはなんだろうか。人によって価値の判断は様々だが、ひとつの尺度としては価格があげられるだろう。

「お金」の機能は3つあり、価値の交換・支払手段、価値の尺度、価値の蓄積・保存手段といわれている。お金がいくら必要か、つまり価格というものは、ひとつの価値の尺度である。今回はどのようにして価格、つまり「モノの価値」が決まるのかを、どのように子どもに教えればよいかを紹介する。実は大人も理解していないことが多いので、一緒に学んでみてもいいかもしれない。

価格はどのように決まるのか?

実は、日常で価格の決め方が意識されることはあまりない。何かを買おうというときには、既に値札が貼ってあり、そこに金額が書いてあるから、それを所与のものとして考えてしまう。

しかし、子どもの関心が高いテーマを題材にすると、感覚をつかむことができる。商店街にある小さいオモチャ屋さんでの出来事が、価格の決まり方を教えるのにいいキッカケとなったので共有したい。

日曜の朝にやっている子どもが好きなアニメは、1年で1クールが終わる。それぞれのクールで、主人公やその仲間が使うアイテムが変わり、都度、それらを再現した玩具も販売される。ちょうどクールが変わったタイミングでオモチャ屋さんに行くと、前クールの主人公が使っていたアイテムを模した玩具は値下げされている。

子どもからすれば、中古でもないのになぜ安いのか不思議に思うようだ。理由は簡単で、既に終わったクールの玩具は需要がなくなり、みな最新クールの玩具を欲しがるからだ。実際にモノを前にして、「欲しい」「欲しくない」という判断が価格に連動しているのは子どもも理解することができる。

ここまでは需要サイドの話になるが、供給サイドの話をできる事例も紹介しよう。題材はガソリンの価格だ。

ドライブをしていると、どこのガソリンスタンドも価格を示すカラフルな電光掲示板をおいている。同じスタンドでも行く度に価格が微妙に変わっていたり、ときには大きく変わっていたりすることもある。

この時、なぜ変わったのかという説明として、産油国で戦争や天災が起きれば供給量が減り、一方で需要は変わらないのであれば、必然的に値段は上がっていくということを伝えることができる。さらには、過去のオイルショックなどの話もすれば、歴史や政治についても興味を持ってもらえるかもしれない。

大人向けに価格の話をするには、需要と供給が一致する所に落ち着くと言えばいいだけだが、子供の金銭感覚を養っていく上では、「欲しい/欲しくない」が表れやすいものや、「変化」が目に見えるもので都度教えていくといいだろう。
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文=森永康平

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