しかし、実践できているかどうかに目を向けてみると状況は大きく変わる。なんと現場で働く社員の41.5%が「部門やチーム間でデータ共有ができていない」と回答したほか、業務の遂行や意思決定にデータを活用できている社員はわずか13.9%しかいないと回答した。
理想は掲げるものの、現実はうまくいっていない。それが「データドリブン経営」の実態といったところだろうか。そうした事実を踏まえ、ここ数年、日本での展開に力を入れている海外企業がある。ビジネス管理プラットフォームを提供している「Domo」だ。
同社は経営層やIT部門だけでなく、あらゆる部門、あらゆる役職の人がデータを活用できるようにすることを重視し、開発を行っている。
今回、ビジネスカンファレンス「Domo City Tour 2018」の開催に際し、本国でCPO(チーフ・プロダクト・オフィサー)を務めるCatherine Wong(以下:キャサリン・ワン)が来日。日本企業がデータドリブン経営を実践するために必要なこと、そしてテック業界における女性のリーダーシップについて話を伺った。
データ経営を実践するキーワードは「アクセスしやすさ、使いやすさ」
──日本でもBI(ビジネス・インテリジェンス)ツールが増えてきていますが、Domoの特徴は何でしょうか? プロダクト開発において、こだわっているポイントがあれば教えてください。
Domoの特徴は経営者から現場の従業員まで、すべての人がスマートフォンから社内に蓄積されているデータにアクセスできる点です。データの透明性を高めることで、課題発見や意思決定を素早く行えるようになる。Domoは働く人々をエンパワーメントするプロダクトである、と自負しています。
私はプロダクトの責任者だけでなく、エンジニアリングのトップも兼任しています。常に「どうしたらユーザーはより使いやすくなるのか?」を考えながら、コンセプトの設計や開発、ユーザーへの提供まで、すべてを統括しています。
──データ活用の重要性は叫ばれているものの、多くの日本企業はデータを活用できていない状況にあります。どうしたら全社的にデータを活用できるようになると思いますか?
こうした問題は決して日本だけでなく、海外のさまざまな企業でも起こっています。データドリブン経営を実現するために、大切なのは「考え方を変える」ことです。
ここに関して、私は時代の流れとともに自然と考え方も変わっていくんじゃないかな、と楽観的に考えています。それはなぜか、理由は2つあります。
1つ目は若い世代の人たちはオープンな考え方をしていて、透明性をすごく求めるので、データにアクセスする流れができ始めている、ということ。2つ目は各企業に“スピード感”が求められている、ということです。
会社の競争優位性を保ち、負け組にならないようにするためには、常にスピード感を持ってビジネスの最適化を進めていくことが求められます。この時代において、減速することは許されないわけです。とにかく動きを早くする。そのためにはデータの可視化が必要不可欠ですから、おそらく考え方も変わっていくのではないだろうか、と思っています。