右に回せばパワーオン! 人々をつなぐ「生きた電源」


まずは食卓にイノベーションを 電源だから可能性は無限に広がる

埼玉県さいたま市に本社を置くベルニクスは創業41年。もともとは医療機器やスパコン、航空機など、産業機器向けの電源装置を開発してきた。

「ワイヤレス給電は金属の接点がないため、水に濡れても感電する危険がない安全な技術です。それならもっと身近にあってもいいのではないかと発想し、家庭の食卓に注目したんです」(鈴木)

給電の仕組みは、送電側、受電側の2つのコイルの間で磁界の変化を介して電気を伝える「電磁誘導方式」。3cmまでなら木も通すため、テーブル内部にスマートに組み込める。

非接触給電には「Qi」などの規格もあるが、前者が最大15Wなのに対し、パワースポットは最大50W。パソコンなど大半の家電製品を動かせる。

「ダイニングテーブルには家族が集まります。しかも、時間帯によって使われるパターンが違います。家族で食事をしたり、子供が照明スタンドを立てて勉強したり、親がパソコンで作業をしたり。パワースポットなら、いろんなものを乗せられ、その全てを動かせます。しかも、誰かがケーブルに足を引っ掛けてしまうこともありません」

出力が大きくなれば熱も発生する。しかし、効率的な回路や安全回路を組み込むことで安全性を高め、待機電力も限りなくゼロに近づけた。そこには人命や財産にかかわる電源を開発してきた企業としての長年の経験が生かされている。

「カフェやレストランの机に内蔵すれば、料理の出し方も変わります。お客さんの前で最後の仕上げをしたり、いつまでも温かいものを提供したりできる。そして、皿を取れば普通のテーブルになる。電源だから可能性は無限です」(鈴木)

自分はパワースポットの上に何を乗せようか。そう考えるだけでもワクワクする製品だ。

文=畠山理仁 写真=藤井さおり

この記事は 「Forbes JAPAN ストーリーを探せ!」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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