筆者:どういう仕組みですか?
キム:瞑想の講師はシンプル・ハビットに応募し、当社の審査を受ける。審査が終わったら、コンテンツを掲載する。これは2つの側面を持つ商品売買の場。片方は、瞑想講師という供給側。もう片方は、ユーザーという需要側。一般的な瞑想アプリはこのような仕組みになっておらず、自社でコンテンツを作る出版社的アプローチを取りがちだ。
筆者:競合アプリとの違いは?
キム:当社は絶えず新たなコンテンツを作り出す75人の講師を抱えている。毎週私たちは、さまざまな問題に合わせた新たな瞑想コンテンツを出している。
筆者:なぜアプリなのでしょう?
キム:ミレニアル世代によく合っているから。この世代はあらゆるものをモバイル端末で消費している。実はシンプル・ハビットにはウェブ版もあり、そちらを強化するために現在再構築を行なっている。
筆者:資金はどうやって調達しましたか?
キム:最初は自己資金を使った。投資家から資金を集めることに、どれほどのコミットメント(確約)が必要かを知っていたから。私は、自分が実現可能なビジネスと意義のある理念を持っていることを証明したかった。昨年、スタンフォード大学経営大学院を中退し、(スタートアップ養成所の)Yコンビネータに入った。そこを卒業後、ニュー・エンタープライズ・アソシエーツやドロップボックスのドリュー・ヒューストン最高経営責任者(CEO)、ガスト(Gusto)のジョシュ・リーブスCEOらから250万ドル(約2億8000万円)の投資を集めた。それ以降、私たちは事業を5倍にし、年間経常収益は300万ドル(約3億3600億円)を超えている。
筆者:投資家へはどうやって売り込んだのか?
キム:3つの要素がある。1つ目は市場におけるスペース。ストレスの問題は悪化するばかりで、米国では5人に1人が不安を抱え、さらに1人が鬱(うつ)に苦しんでいる。治療は非常に高価で時間がかかることが多く、米国では一次医療の診察の70~90%がストレス関連だ。セルフケアを簡単に得られるようにすることで、それを数パーセントでも減らせれば、数十億ドル(数千億円)規模の節約になる。
2つ目はビジネスモデル。当社は講師側のコンテンツ収益化を可能にした初のアプリだ。提供コンテンツにはさまざまなものがあり、多くの講師を抱えているため、需要が増えるにつれてコンテンツの質は増すばかり。
3つ目はけん引力。App Storeで「meditation(瞑想)」と検索すると、当社のアプリが最初に出てくる。またユーザーの80%は、1週間に7回以上瞑想している。これはとんでもない数字だ。