アウトランダーは2014年に登場して、今回で3回目のマイナーチェンジ。とはいえ、大幅な改良なので報告しよう。
このSUVがどれほど時間を先読みしていたか、というか、どのぐらい先を行ってるかというと、SUVの中で最もEV走行が長く、高級ブランドでないプラグインの中での唯一の4WD、しかもプラグインの中で最も充電が速い──という珍しい存在なのだ。
アウトランダーPHEVは確かにプラグイン・ハイブリッドだけど、一般的には「エンジン付き電気自動車」と呼んだほうが分かりやすいかもしれない。不思議なほど、できる限り電気だけで走行しようとする。
欧州と日本で4年前に発売され、今年はついにアメリカにも上陸した。世界一の米国市場への導入は、なぜそんなに遅れたのか。
その理由は、生産台数が限られている中で、欧州に回せる台数は全部すぐに売れてしまうからだ。しかも、アメリカで売るより高い値がつく。例えば、オランダでのアウトランダーPHEV販売価格が約4万4000ドル(約500万円)なのに対して、 アメリカでは3万5500ドル(約400万円)と、これだけの差が出る。
さて、今回のPHEV車は何が新しいのか。まずはルックス。ライバルのトヨタRAV4とかホンダCR-Vと比べて、アウトランダーの外観は保守的と言える。そう言うコンサバな見た目をドレスアップさせるのに、ヘッドライトやグリル、アルホイールのデザインの化粧直しをした。
ただ、旧型より格好はよくなっているけど、個人的にはそろそろ、昨年の東京モーターショーで発表された近未来的な「eエボリューション・コンセプト」のようなシャープな外観を採用してもいいような気がする。
世界で唯一のPHEVのSUV
しかし、今回のビッグマイナーチェンジで最も重要だったのが、エンジン、すなわちPHEVシステムの進化だ。なんと9割も改良したという。エンジンは従来の2リッター4気筒DOHCから2.4リッターのアトキンソンサイクルエンジンに換装され、出力は118psから28psに、トルクは186Nmから199Nmにパワーアップされている。
さらにモーターもリアのみ82psから95psへ増強。でもエンジン排気量アップの狙いは、モーター走行での余裕を生むことだと三菱はいう。バッテリーもアップグレードされている。リチウムイオン電池の容量は約15%拡大、EV走行が可能な距離は60.8kmから65.0kmに伸びた。
同車は、日本車では、いや世界で唯一のPHEVのSUVなのだ。またモーターで後輪も駆動する4WDであることも、他のクルマとは異なるユニークな点だ。