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2018.10.20

ネット通販企業の買収を続けるウォルマートの本当の狙い

Niloo / Shutterstock.com

小売最大手の米ウォルマートは先ごろ、ランジェリーのオンライン販売を手掛けるベア・ネセシティーズ(Bare Necessities)を買収したと発表した。そのわずか2週間前には、プラスサイズの衣料品を販売するエロクイ(Eloquii)を傘下に収める計画を明らかにしたばかりだ。

インターネット通販最大手の米アマゾン・ドットコムとの戦いを続けるウォルマートは2016年に33億ドル(約3710億円)でジェット・ドットコム(Jet.com)を買収して以来、そのポートフォリオにおけるネット通販企業の数を増やしてきた。

ベア・ネセシティーズの買収については、自社に「ランジェリー販売の分野に関する深い専門知識をもたらしてくれる」と説明。オンライン販売での急成長が続く同分野は、「サイズ決定などが複雑で、製品は高度に分化している」と述べている。

1998年創業のベア・ネセシティーズは、カルバン・クラインから補正下着のスパンクスまで、160以上のブランドが販売する10万点以上の製品を取り扱う。同社によれば、ランジェリーに特化したオンライン販売では最大の規模で、サイズ展開の幅は「他に類をみない」という。

だが、このところファッション分野への関心を高めながら企業買収を続けるウォルマートが同社に狙いを定めた動機が、「ランジェリーのオンライン販売市場でのシェア拡大」だと考えるなら、それは誤解だ。

買収の目的は、高級ブランドの一部がいまだに提携をためらうウォルマートが、オンライン販売で提供する商品カテゴリーの幅を急速に拡大させるために必要な「人材とノウハウ、ブランドとのコネクション」を手に入れることだ。

ウォルマートは過去の買収と同様の戦略を取り、ベア・ネセシティーズの共同創業者であるノア・ルーベル最高経営責任者(CEO)を、Walmart.comとJet.comのランジェリー部門トップに迎える(Jet.comの共同創業者マーク・ロアは現在、ウォルマートのネット通販部門を率いている)。
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編集=木内涼子

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