Crowd Sirenが裁判の過程で、フェイスブックの8万ページに及ぶ内部書類を調査した結果、同社がこの問題を2015年から隠蔽していたことが発覚したという。さらに、フェイスブックの数字の水増しは、彼らが以前報告した60〜80%ではなく、「150〜900%」に及んでいたと、Crowd Sirenは述べている。
Crowd Sirenは10月16日、この件で修正訴状を提出し、フェイスブックが詐欺的行為を働いたと訴え、懲罰的損害賠償を要求している。
フェイスブックの広報担当は「この訴訟には法的根拠がなく、棄却するよう求める申し立てを行った。当社がこの問題をパートナーに隠そうとしたとする主張は誤りだ」と述べている。
Crowd Sirenの今回の動きの背景には、フェイスブックやグーグルらに対する、広告主側からの反発の高まりがある。この2社は米国におけるデジタル広告支出の57%を握っており、年ごとの市場の拡大に占める比率は90%となっている。
メディアエージェンシーのGroupMのRobin O’Neillは、以前のインタビューでこう述べていた。「当社はフェイスブックに対して、外部企業による、広告に関わるデータの査察を受け入れるよう求めている。フェイスブックに広告を依頼する全てのエージェンシーは、正確なデータを共有する権利があるはずだ」と述べた。
フェイスブックは2017年5月にも不正確なデータを報告し、広告主らに払い戻しを行っていた。当時問題となったのは、動画広告にカーソルを合わせただけで、視聴を行ったとカウントしていたことだった。
また、それから数カ月後、フェイスブックの広告ツールの説明文に「米国の4100万人の18〜24歳にリーチできる」と記載されていることが話題になった。これは米国政府の人口調査データより1000万人も多い数字だった。外部から指摘を受けたフェイスブックは「この推定リーチ数は様々なファクターを加味して算出したものだ」と苦しい弁明を行った。
一方で大手の広告主らは、デジタル広告の出稿先の選定に、慎重な姿勢をみせ始めている。P&Gは2017年のオンライン広告支出を2億ドル削減したと発表し、デジタル広告の多くが効果を生んでいないと述べた。
同社のCMOのMark Pritchardは、ボットなどを用いてクリックを水増しするアドフラウド (Ad Fraud)が広まっていることを指摘し、フェイスブックやグーグルに対し、広告の効果測定に関する外部企業からの査察を受け入れるよう要求した。