ビジネス

2018.11.05

会社の成長に欠かせない要素は? 11カ国1300のCEOに調査

今後3年間の自国の成長について「自信がある」と答えたCEOの割合


今後3年間でAIが自社にもたらす効果


世界のCEOが「データアナリティクス能力の向上」などにも注目する一方、日本の経営者の意識はAIによる経営スピードや成長の加速に向く。その結果、日本では「経営機動性の向上」や「利益成長の加速」が上位にランクインした。日本企業は経営の機動性を重視しており、それだけAIによる改善への期待値が高い。

世界と日本のAI導入状況

3つの段階にわけて、企業のAI利用状況を調査。世界全体では「限定的な導入」「試験的導入」「自動化のために導入済み」の順で多く、半数以上の企業ですでに利用が始まっている状態だ。一方、日本企業はAIの導入を進めている段階にあるものの、まだまだ限定的な導入段階にとどまる。少数プロセスでの試験的な導入や特定プロセスへの利用は世界全体より多いが、プロセスの自動化ほどの利用は全く行われていない。

米国では対照的に試験的導入よりも限定的な導入や自動化での利用をしていると答えた企業の方が多い。特に31%の企業がすでに自動化のため導入済みで、日本とは利用状況が異なる。





AIは雇用を奪うのか


近年、注目される「AIが雇用を奪う」というテーマについては、世界全体の半数以上のCEOは「雇用を生む」と肯定的な見解を示している。

AIは経営の機動性を高める



AI活用の効果として「経営の機動性の向上」に注目しているCEOの割合は、世界のCEOが33%程度であるのに対し、日本のCEOは10ポイント高い43%。

データよりも自身の経験に基づく直感に従って判断したことがある



経営におけるAIの活用などが期待される昨今だが、全ての調査国で半数以上のCEOがデータよりも自身の経験に基づいて判断を下したことがあると答えている。日本の割合は米国に続く第2位だが、酒井は「日本では、いまはまだ各企業が有用なデータを集めている段階だからなのではないか」と分析。

戦略的意思決定をする際に信頼するデータソース



世界全体に比べて、日本はソーシャルメディアをデータソースとして信頼すると答えたCEOの割合が21%も少ない。酒井は、この原因を「実際には利用しているが、不確かな情報を含むことも多いソーシャルデータを公に信用しているとは言いづらい」「ソーシャルデータを含むビッグデータを扱える人材や情報機器の不足」などが想定できるという。

予測データの正確性について確信がない



過去の実績データに比べて、予測データを信頼しないCEOの割合は、世界全体でも半数以上、日本で62%。これからはより精度の高い予測データの算出と、実績データ・予測データの両方の活用が求められる。

データよりも経験に基づく直感を重視



CEOたちは、自らの直感、経験、判断の重要性を認識している。今回調査ではCEOの67%が、過去3年間にデータ分析モデルによる示唆が自分の経験や直感と異なったため、データに従わなかったと回答している。

後編はこちら
世界各国と比べて、日本のCEOの傾向がよく表れた本調査。後編ではデータを基に、KPMGジャパンの酒井弘行CEOに日本企業が世界で生き残るためのヒントを聞いた。

構成=野口直希 写真=小田駿一 イラストレーション=ミゲル・カマチョ

この記事は 「Forbes JAPAN 新しい現実」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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