*オーストラリア、中国、フランス、ドイツ、インド、イタリア、日本、オランダ、スペイン、英国、米国の主要11カ国の1300名の最CEOを対象に、2018年1月22日から2月27日にかけて実施された。対象業種はアセットマネジメント、自動車、銀行、消費財/小売、エネルギー、インフラ、保険、ライフサイエンス、製造、テクノロジー、電気通信の11業種。
世界経済の行方
主要国の多くは、自国がこれからも好調な経済成長を続けると考えている。世界全体で「自信がある」と答えたCEOの割合は67%。前年比で「自信がある」と答える割合が上昇した国が目立つ。日本はここ数年で業績が回復している企業が増えており、将来に自信をもつ経営者が増えている。
一方で大幅な減少を示したのは、政治が急変動した英国、ドイツ、イタリアなどのヨーロッパや、GST(物品サービス税)が導入されたインドだ。メキシコに本社を置く世界的な建設資材会社CEMEXのフェルナンド・ゴンザレスCEOは「いまは世界の成長について、きわめて良好な素材が揃っている。このような世界の同時成長は本当に久しぶりだ」とコメントしている。
今後3年間の自社の年間売上成長率の見通し
世界のCEOのうち55%が、今後3年間の自社の売上成長率を0.01〜2%未満、42%が2〜5%未満と予想。5%以上の成長を見込んでいるのは、わずか2%。
今後3年間の自社の成長に自信があると答えたCEOの割合
多くのCEOが、今後の自社の成長に対して肯定的な見通し。世界のCEOの90%が今後の成長に「自信がある」と回答。昨年の83%に比べてより肯定的に。
成長のために今後3年間に注力するのは?
日本では「第三者のデータプロバイダーとの連携」がトップ。これはビッグデータ活用体制の構築が急務になっていることを意味している。74%の企業がデータサイエンティストを重視していることからも、他国と比べてAI対応を喫緊の課題だと捉えていることがわかる。他社との戦略的提携も関心が高い。
自社がサイバー攻撃を受けるのは不可避である
デジタルイノベーションは事業全体に大きな価値をもたらす可能性がある一方で、接続性が高まれば高まるほどサイバー攻撃を受けるリスクが高まることになる。サイバー攻撃は「もし受けたら」という仮定の話ではなく「いつ受けるか」という問題になっている。
全世界で最もサイバー攻撃を脅威に感じているのは米国。情報インフラが発達しているIT先進国ほど、サイバー攻撃への危機意識も高い結果となった。中国の数値が低いのは、現在ITインフラが発展段階であることや、ネット利用の実名登録が背景にある。国内からの攻撃の脅威を感じていないのかもしれない。
業種別に見るサイバー攻撃への備え
デジタル業界のみならず、あらゆる産業にとってサイバー攻撃への対応は不可避。全体のうち「備えができている」と回答したのは51%。業種別トップは、インフラ部門。国家の根幹となるエネルギーや公共設備を機能させるためには、高水準のサイバーセキュリティが求められる。
サイバーセキュリティは自社の成長への脅威
一部の先進国による貿易協定からの撤退の可能性や英国のEU離脱の動きをCEOは注視しており、「保護主義への回帰」「サイバーセキュリティリスク」は世界全体で警戒されている。世界でも高いリスクとみなされているサイバーリスクに関しては、現状の対策が不十分という認識があるだけに、脅威に感じているCEOが多いようだ。
信頼獲得のためには強固なサイバー戦略が必要
日本企業は、ステークホルダーとの信頼獲得のためにサイバー戦略を重視。他国に比べて、優先的な課題と捉えている。
サイバー攻撃に対する備えはできている
日本がサイバー戦略を重視する背景には、現状のサイバー攻撃への対応不足がある。備えがあると回答したのはわずか33%。
サイバー攻撃を検知する能力が十分にある
サイバー脅威の検知能力も、日本は世界より25ポイント低い。被攻撃時に影響を抑える能力でも、世界全体を下回った。