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2018.10.18

大麻合法化のカナダ、社会はどう変わるのか

designelements / Shutterstock.com


・オピオイド鎮痛薬

米国でこれまでに実施された複数の調査によれば、医療用大麻が合法化され、調剤薬局が設置されている州では、オピオイド鎮痛薬の依存症患者や過剰摂取による死亡者の数が減っている。

今年2月に公表された調査結果では、医療用大麻を合法化した州で、オピオイド鎮痛薬の処方箋の発行枚数が大幅に減少したことが示された。これらの州では、慢性痛の患者によるオピオイド鎮痛薬の使用量も60%以上減っているという。

また、オピオイド鎮痛薬の依存症のまん延が2018~20年にもたらす経済的損失は、米国だけで5000億ドルに達すると予測されている。

・小売業界

カナダ連邦政府は大麻の販売方法に関して、各州政府に決定権を認めている。販売できる場所や店舗の運営方法なども、各州がそれぞれに決めることができる。

大半の州ではオンライン販売が認められるが、民間企業の参入を認めず、州政府が運営するサイトのみで販売する州もある。ノバスコシア州では酒類の専売公社が運営する店舗のみで販売。最も人口の多いオンタリオ州では、新たに専売公社となるオンタリオ・カナビス・リテール・コーポレーション(Cannabis Retail Corp.)が設立された。

米国への影響

米国とは異なり、カナダにはわずか10の州があるだけだ。州ごとに異なる50の規則がある米国では、大麻関連の企業が各州の定めるさまざまな基準を満たす必要に迫られることから、業界の成長が妨げられことも考えられる。

米国はすでに、ニューヨーク証券取引所に上場したカナダ企業キャノピー・グロースの影響を受けている。同社は先ごろ、米国の連邦法の下では違法である製品を初めて、医療目的の研究に使用するものとして合法的に、国境を超えて米国内に運び込んだ。米国は大麻市場のシェアを、外国企業に奪われている。

編集=木内涼子

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