企業をむしばむ、職場の注意散漫問題 リーダーがすべきこととは

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私の顧客は電話会議が始まると「遅くなってすみません」と言った。「電話を受けるために、運転して自宅に戻ってきました。木曜日にしてはとてもうるさくて……」

その週の前半、私は滞在中のホテルのコンシェルジュのところまで軽やかに歩いて行った。荷物を受け取ってタクシーを頼み、空港に向かうためだ。

私はデスクの若者に近づき、「これから出発します」と言った。「承知しました」と元気に答えた彼は「お荷物のチケットをお持ちですか? これからロッカーに取りに行きます。タクシーはご入用ですか?」と聞いた。私が「ええ、お願いします」と答えると、彼は立ち去った。

ロッカーは私の左側、約15メートル先だ。彼はドアを開け、数秒の間に簡単に私のバッグを見つけ出した。彼は気づいていなかったものの、私は彼の一挙一動を見ることができた。彼はそこから、壁のコンセントで充電していた携帯電話を2分ほどいじっていた。

彼は携帯電話のスクロールをやめた後、私に自分の行動を見られていたことなどつゆ知らず戻ってきて「それではタクシーを手配いたします」と言った。

この2つの例には関係性がないが、どちらも職場での注意散漫を示す。私はこの問題に懸念を募らせている。皆さんもきっと、関心を持っていることだろう。

オープンオフィス(間仕切りのない開放型オフィス空間)の概念は、プラス効果とマイナス効果を両方生んでいる。良い面として挙げられるのは、オープンオフィスでは閉鎖型のオフィス環境にはない活気が作られることだ。活気が生まれるのは、ブレーンストーミングや意思決定、仕事の遂行のためのコラボレーションの分野かもしれない。こうした目に見えるエネルギーは多くの人の糧となり、従業員はより仕事に精を出せるようになる。

その一方、オープンオフィスは万人向けのものではない。書き物や思考、分析、創作、また私の顧客のように電話会議などのタスクを遂行するため、ある程度平和で落ち着きのあるスペースが必要な人にとっては大きなストレスにもなりかねない。

オープンオフィスのこうしたマイナスの側面は、職場での注意散漫につながる。従業員が騒音や騒ぎ、邪魔、あるいは照明などのせいで業務に最大限の力を発揮できないと感じているようであれば、エンゲージメントや生産性レベルはあまり芳しくないと言える。

またリーダーは、テクノロジーの適切な使用を評価すべきだ。従業員はいつも、通知やメッセージを嵐のように浴びている。先ほどのホテルのコンシェルジュの例で、彼が私の生活に来した遅れはたった2分だと主張する人もいるかもしれない。確かに、これはたった2分だ。しかし、このホテルチェーンやこの従業員に対する印象はどうだろう?
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翻訳・編集=出田静

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