それは、サンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)のおかげだ。「ピチャイは力強いCEOであると同時に、責任感もあると見られている」とハーングリフィス。「公の場での彼の話し方には、謙虚さと慎み深さがある」
ピチャイの揺るぎない人格は、ダモアの文書公表によって試されることとなった。グーグル本社から遠く離れた場所で家族旅行中だったピチャイは、広報部の背後に身を潜めることもできたはずだ。だがピチャイは休暇を切り上げ、ダモアを解雇し、全社向けメールで差別を糾弾することで、真正面からこの問題に対処した。
この行動を通じピチャイは、雇用の機会均等を掲げる企業としてのグーグルのステータスを維持する信念を示した。そしてもちろん、従業員の福祉を心から気にかけている点も示した。従業員を大切にする心は、グーグルの企業文化の核であり、同社を有名にした要因でもある。
「グーグルは、その価値観や文化、素晴らしい職場作りへのコミットメントが称賛されている」とハーングリフィス。「もし従業員をきちんと扱わなければ、企業の責任を果たすことはできない」
しかしなお、高い評価を得たグーグルですら、迫りくる危険に注意しなければならない。その一例が、最近グーグルプラスで起きた個人情報の流出だ。「グーグルは、特にデータ、統合性、使用に関する管理に注意しなければならない。オープンかつ透明であると同時に、注意深さも必要だ」とハーングリフィスは言う。
レゴは「企業責任を製品に」
ランキングに入った企業の中で、製品の透明性に関しては、デンマークの玩具メーカー、レゴの右に出るものはいない。69.4点で3位となった同社は、子ども向けのカラフルなブロックで昔から知られてきた。だが最近では、レゴの名は環境面での持続可能性を示す代名詞となった。レゴは今年3月、植物を原料としたブロックを製造する計画を発表した。そして早くもその4カ月後に同計画を遂行し、初の持続可能材料としてサトウキビを使ったレゴを完成させた。
これは、2030年までに全ての主要製品と包装を持続可能な材料で作るという同社の目標に向けた最初のステップにすぎない。「レゴは非常にしっかりした企業で、環境を尊重しつつ遊びを通じた学びを促すという高い目的意識を持った会社だ」とハーングリフィスは語る。「同社は文字通り、目的意識と企業責任を製品に込めている」
今年はランキングの名前こそ変わったものの、企業責任を果たしている会社としての評判を挙げる秘訣はまったく変わらない。それは従業員の団結だ。「企業の責任をしっかり果たしていると評価される企業は、内部から作られる」とハーングリフィス。「内部が連帯していれば、外部向けのストーリーはずっと力強いものになる」
今年のランキングトップ10社は以下の通り。
1位 グーグル
2位 ウォルト・ディズニー・カンパニー
3位 レゴ
4位 ナチュラ
5位 ノボ・ノルディスク
6位 マイクロソフト
7位 ボッシュ
8位 キヤノン
9位 ミシュラン
10位 イケア