読者の皆さんは、ゴルフの歴史がどこからスタートしたかご存じだろうか?エディンバラなのかセントアンドリュースなのか、アバディーンなのか。イギリスではなくフランスなのかオランダなのか、はたまたベルギーなのか。答えはなくて、真実はどこにあるかわからないのである。
そういう意味で記録に残っているものにしか答えがないとすると、最古から存在するホールの1つが1625年に存在していたゴルフホール、いわゆるクイーンズホールがアバディーンのリンクスにあったことは偶然ではないだろう。世界で6番目に古いとされるゴルフクラブ、ロイヤル・アバディーン・ゴルフ・クラブがここにある。
もともと知名度がいまひとつなロイヤル・アバディーンであるが、歴史、そのコースの素晴らしさからロイヤルの称号がつけられているのも深くうなずける。特に最近はすぐそばにトランプ・インターナショナル・ゴルフ・リンクスができてやや存在感が薄くなってきているが、やはりここはスコットランドでも屈指のリンクスコースであろう。
アバディーンというのはエディンバラ、グラスゴーに次ぐスコットランド第3の都市であり、日本とも大変縁が深い町である。長崎にあるグラバー邸で有名なトーマス・ブレーク・グラバーは、ここアバディーンの出身である。井上馨、伊藤博文はグラバーの尽力で英国への密留学を果たし、その際にここアバディーンのグラバー家を訪ねたかもしれないという。
戦前は屈指の軍港として、ヒトラー率いるナチス・ドイツの攻撃のターゲットとなったと言われており、現在は北海油田の採掘拠点として、「ヨーロッパの石油の首都」としても知られている。もともと花崗岩でできた建物が多い町で、花崗岩の都市、グラニット・シティとして名が通っている。その市街地から車を5分ほど走らせると、コースに到着する。
ロイヤル・アバディーン・ゴルフ・クラブとしては1815年にクイーンズ・リンクスでプレーが始まり、88年に現在のバルゴウニーに移ってきた。このクラブの場所を移す決定は、当時のキャプテン・ブルックの英断によるものである。
コースは最初、アーチー・シンプソンとロバート・シンプソンの兄弟によって設計されたが、のちにジェームス・ブレイドによって現在のレイアウトに変更された。