訪れるゴルファーたちを魅了する、歴史あるリンクス

ロイヤル・アバディーン・ゴルフ・クラブ


このゴルフクラブで生まれた、いくつか現代でも適用されているルールがある。例えばプレー中に見失ったボールを探すのは5分以内というルールは、このロイヤル・アバディーンで1783年に初めて導入された。そしてこれは現代では行われていないが、プレーをするときにレッドジャケットを着用せよというのは、1827年にこのクラブが決めたルールである。

また、新しくクラブのメンバーになるためには3カ月間クラブに名前が張り出され、クラブメンバーの1人の反対でもあればメンバーになれないというのも名門クラブではよく行われている慣習であろう。

1815年にアバディーン・ゴルフ・クラブと名前を変更してから、72年にはレオポルド王子がパトロンに就任したが、 ロイヤルの称号を与えられたのは1903年8月10日、当時のイギリス国王のエドワード7世からであった。
 
このコースはバルゴウニーとシルバーバーンの2つのコース、合わせて36ホールで構成されている。バルゴウニーのフロント9は特にその美しさで有名で、1番ホールからその光景に圧倒され始める。眼前に広がるアバディーンのビーチを睨みながらの難しいホールである。9番ホールまでは海沿いを進み、10番ホールからは内陸の台地を戻るコース設計になっている。


海に向かって打つ1番ホール。コースから一望できる海には北海油田を行き交う補給船が見える。

本コースのゴルフディレクターのロニー・マッカスキルによると、シグネチャーホールは8番ホールの147ヤードパー3だという。非常にうまく打てたショットがグリーンの左に乗った場合のみがナイスショットで、それ以外は周りにある10個のバンカーの餌食になるホールであった。ちなみにシルバーバーンコースの18ホールは距離の短い、しかもパー3が9つもある楽しいコースである。
 
我々についてくれたキャディーは、歴史ある地元の名門アバディーン大学の工学部に在籍しているというインド人学生だった。ゴルフのことはさっぱりわからないものの今後はコンピュータサイエンスなんだと力説するインド人学生のキャディーと適当に談笑しながら、素晴らしい午後のラウンドを楽しんだのであった。
 
まさに人生短し、リンクス多しである。


こいずみ・やすろう◎FiNC 代表取締役CSO/CFO。東京大学経済学部卒。日本興業銀行、ゴールドマン・サックスで計28年活躍。現役中から、インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢・発起人、TABLE FOR TWO Internationalのアドバイザーなど社会貢献活動にも参加。お金のデザイン社外取締役、WHILL、FC今治のアドバイザー。

文=小泉泰郎

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