K・ウェスト、大混乱のホワイトハウス訪問 心の病めぐる議論に

(左)カニエ・ウェスト(右)トランプ大統領(Photo by Oliver Contreras - Pool / Getty Images)

ドナルド・トランプ米大統領は先週、歌手のカニエ・ウェストと元アメフト選手のジム・ブラウンと面会した。面会の目的は、刑事司法改革など、黒人にとって重要な問題を話し合うためだったとされる。

その2日前、米CNNテレビ司会者のドン・レモンは、バカリ・セラーズ元議員やCNN寄稿者のタラ・セトマイヤーなどを招いたパネルディスカッションで、この面会について議論していた。

3人のパネリストは、ウェストが黒人の懸念を代弁したり、何らかの問題について真剣に意見を述べたりできると思われていることに対し、怒りをあらわにした。セトマイヤーは、最近の行動に鑑みるとウェストの言動は真剣に受け止めるべきではないと主張。「ウェストは明らかに問題を抱えているし、すでに入院もしている」と語った。

そしてホワイトハウス訪問当日、トランプと面会したウェストは、10分間にわたり脈絡のない内容を矢継ぎ早に一人で話し続けた。

レモンはこの会合が終わった後、怒りを隠しきれずに、番組内でウェストについて語り続けた。レモンは、アフリカ系米国人はウェストが「大統領に利用される」のを見て「身がすくむ思い」をし、恥をかかされたと主張。さらに、「彼はカメラから離れる必要がある。周囲の人、家族やマネジャーらが彼のことを気にかけているのなら、彼を捕まえるべきだ。カニエには助けが必要だ」と語った。

一方、保守系メディアは、レモン、セラーズ、セトマイヤーの発言は心の病に「負の烙印(スティグマ)を押す」ものだと非難。米ニュースサイトのインターセプト(The Intercept)は「精神保健の専門家が、カニエ・ウェストの入院をあざ笑い汚名を着せたとして、CNNとドン・レモンの番組を批判」という見出しの記事で、心の病に関するスティグマとその悪影響を長々と論じ、「心の病の治療を理由とし、ウェストの意見は聞く価値がない、ウェストには説得力のある思考ができないと言うのはグロテスクだ」と述べている。

しかし、セトマイヤーがウェストの入院を引き合いに出したのは、ウェストが一貫した思考をまとめることができないという点を示すためだった。セトマイヤーが、ウェストの意見を聞く価値が(現時点では)ない理由として挙げたのは、理論的思考ができないということであって、ウェストの入院ではない。入院は、ウェストの精神に問題があるという論点を裏付けるものだ。

では、メンタルヘルスに関して、ここで考えるべき事実とは何なのか?
次ページ > 心の病と診断されることと、実際の症状があることの違い

編集=遠藤宗生

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事