同社CEOのTony Xuは「資金調達を行うために最も有効なのは、良いビジネスを作ることだ。昔はお金を呼び寄せる、魔法の杖があったらいいのにと思ったこともあるけどね」と笑った。
DoorDashは、フォーブスが将来のユニコーン企業25社を選出するリスト「次世代スタートアップ(Next Billion Dollar Startups)」の2015年版に登場していた。同社は激戦区となったフードデリバリー市場で勝ち抜き、ウォルマートとも食品配送の契約を結んだ。
フォーブスは2015年から毎年、TrueBridge Capital Partnersの協力を受けて次世代スタートアップのリストを発表している。当リストに選出された企業の約3分の1が、資金調達や買収及びIPOなどによって、企業価値10億ドルを突破している。
2015年に選出された25社のうち、9社が現在ユニコーンになり、その大半が2017年に企業価値10億ドルを突破していた。米調査会社Pitchbookのデータでは、2017年に企業価値10億ドルを突破した米国企業は34社だった。
マーケットプレイス企業の「Thumbtack」も2015年に同リストに選出された後、ユニコーン化した。また、不動産の取引プラットフォームの「Opendoor」や建設業界向けソフトウェアを開発する「Procore」も2015年のリスト掲載後、企業価値10億ドルを突破していた。
一方で、他社に買収された企業も多数存在する。2017年に選出された処方箋薬のデリバリー企業「PillPack」は2018年6月、アマゾンに推定10億ドルで買収された。システムプロバイダーの「Jive Communications」は、2018年2月に3億4200万ドルでLogMeInに買収されている。
「ミレニアル世代のコストコ」も選出
フォーブスの次世代スタートアップリストには累計75社が登場したが、そのうち上場を果たしたのは4社のみだ。カリフォルニア州本拠のがん検査企業の「Guardant Health」、オンライン不動産取引の「Redfin」、サイバーセキュリティの「Tenable」、食材宅配サービスの「Blue Apron」だ。
このうち3社の時価総額は10億ドルを超えているが、Blue Apronのみは悲惨な結果となった。Blue Apronは2017年6月にIPOを果たしたが、一株10ドルだった同社の株価は現在、1.3ドル付近で取引されている。
また、事業閉鎖に追い込まれた企業もある。中古車売買のスタートアップ「Beepi」は2015年の選出だが、1億5000万ドルの調達資金を使い果たし、2017年2月に廃業。2016年選出のイヤホンの「Doppler Labs」も、2017年11月に閉鎖した。
一方で、企業価値を気にしない起業家もいる。「ミレニアル世代のコストコ」と呼ばれるEコマースサイト「Boxed」のチェ・フアンCEOは、「上場前の評価額を気にするのは創業者のエゴ以外の何物でもない。自分は全く気にしない」と以前フォーブスの取材で述べている。
Boxedはリストに選出されてから2年になるが、現在の企業価値は6億ドル。しかし、チェはユニコーンになるのが目標ではないと話す。「毎日、仕事場でデスクに向かい、やるべきことをやるのみだ」と彼は話した。