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2018.10.19

構造化して考える「リーダーシップ」のオモテとウラ

Matej Kastelic / Shutterstock.com

最近、「セクハラ」「パワハラ」といったワードがテレビや新聞を賑わせている。その多くが、同じ組織内の上司と部下といった関係性のなかで起きている。当然、悪意を持って、意図的にハラスメントを行うことは論外だ。しかし、自分が意図せずして相手にハラスメントだと感じさせてしまっているひとも、潜在的にはとても多いのではないだろうか。

実は、この問題はリーダーシップの考え方と密接に関わっている。本記事では、心理学の観点からそれを分析し、正しいリーダーシップについて考えていきたい。

リーダーシップとは、人の仕組みを理解することから始まる。人は何を考え、何を思うのか。そもそも「生きる」というパフォーマンスのメカニズムを知ることが、自他のマネジメントに有効であることは間違いない。

その構造とは、「何を」x「どんな心で」やるかということ。いたってシンプルな2つの因子から構成されている。例外は存在しない。いつでも、どこでも、誰もが「何を」x「どんな心で」の掛け合わせで生きている。

リーダーシップを上手に発揮している人たちは、この構造を理解し、周りのパフォーマンスを引き出すために、周りの人たちと接している。「何を」は何らかのアクションに対する具体的な指示をすること、「どんな心で」はそのアクションの質を高めるために相手のモチベーションをサポートするという二軸で考えられているのだ。

指示の原則は「明確に、具体的に」。脳機能的には認知的に取り組んでいくこととなる。何を、いつ、どこで、誰と、どのようにやるのか。指示が5W1Hにつながり、目標からブレイクダウンされた戦略に繋がるものが正しい指示だ。

指示の権限を有した人が、ただの立場を「偉さ」と勘違いし、心に対する配慮もなく、指示の曖昧さを棚に上げ、自分の指示に従わせようとするのがハラスメントである。

特に、最近話題になることの多いスポーツの場合は、指導者が選手のプレー機会を左右する(メンバーとして起用するか否かなど)ので、ハラスメントがより起こりやすい状況にある。自分は大丈夫だと思う人もいるかも知れないが、これは日頃からよほど意識していないと、意図せずハラスメントが起きてしまう。では、どうすればよいのか。

正しい指示を行うと同時に考えるべきは、相手がそれを「どんな心で」遂行するか。相手の心を配慮して、心を揺らがず・とらわれずの状態に導くことが大切である。指示を出してそのまま放って置くことはリーダーシップではない。その人がどんな気持ちでその指示を聞いているか、何を考えながらアクションをとるかなど、配慮を欠かさないようにしなければいけない。私はその配慮を「支援」とよんでいる。
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文=辻秀一

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