ビジネス

2018.10.17

グーグル子会社が暴露した「FBIからのデータ開示要求」の実態

Evan Lorne / Shutterstock.com


プライベートな映像を警察に握られる

同社によると、これまでに国家安全保障書簡(National Security Letter)を受け取ったことはないという。通常、国家安全保障書簡は諜報機関が企業に情報提供を求める際に発行するもので、受け取った企業には口外禁止令が課せられる。つまり、ネストが今後、レポートから一部の情報を削除した場合、それは同社が要請を受け取ったことを意味する。

ネストの透明性レポートは、政府へのデータ開示に関する情報が不十分だとの指摘もあがっている。「Center for Democracy and Technology」のGreg Nojeimは、ユーザーは自分たちのプライバシーが侵害されていないか、もっと知る権利があると指摘する。

「ネストの監視カメラには、家庭内のセンシティブなデータが録画されている。グーグルがFBIに対して捜査令状を求めたのは正しいことだが、ネストユーザーは、事前に通知を受け取ることなく、プライベートな映像が捜査当局に提供される可能性があることを知らされるべきだ。また、グーグルはユーザーにデータ管理ポリシーを提示し、ネスト製品から得たセンシティブなデータは保持期間をユーザーに通知した上で、廃棄するべきだ」とNojeimは話した。

他社のスマートホーム製品でも、データが捜査当局に開示された事例がある。2016年には、James Andrew Bates被告が犯したとされる殺人事件の裁判で、検察はアマゾンに対して「エコー」に録音されたデータの開示を求めた。アマゾンは当初これを拒否したが、2017年初めに要請に応じた。その後、被告は不起訴処分となった。

編集=上田裕資

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事