運輸長官を務めた人物がシリコンバレーのスタートアップに加わるのは、これが初めてだ。ニュースサイト「CultureBanx」はリフトが今後、政府との連携を緊密なものにし、競合のウーバーとの戦いで有利な立場になると述べている。
リフトは自転車や電動スクーターのシェア事業にも進出しようとしているが、この分野でもフォックスの存在が力を発揮する。同社は自動運転車両の導入も計画中だが、フォックスは2017年に自動運転関連の政府委員会を立ち上げ、安全でスムーズな自動運転車両の導入について議論していた。
リフトは今年9月に累計乗車回数が10億に達したことを発表し、投資家らは同社が来年、IPOを実施することを期待している。フォックスは運輸省在籍時代に、700億ドルにのぼる予算割り当てを監督しており、この分野で最高の知見を持つ人物だ。IPOを控えたリフトにとって、フォックスの参加は市場に好材料を示すことにもつながる。
ニュースサイト「The Information」の報道では、リフトは2018年上半期に売上を倍以上に伸ばし、前年同期比121%増の9億900万ドル(約1000億円)を達成したという。損失も同期間で3億7300万ドルに膨らんだが、赤字の増加スピードは落ちている。
ただし、競合のウーバーとの開きは巨大だ。ウーバーは今年の第2四半期に120億1000万ドルのグロス売上を生んでいた。
フォックスはブログの投稿で、「モビリティに関わるあらゆる要素を考えた上で、リフトへの参加を決めた」と述べた。車両のゾーニング(棲み分け)や土地の活用、予算割り当て、街路の再舗装、公共交通機関への乗り換えといった様々な要素を考慮しつつ、彼はリフトの成長を後押しし、政府機関や投資家らとの連携を構築していくという。
リフトの役員会にはオバマ政権で上級アドバイサーを務めた、バレリー・ジャレットも参画しており、フォックスは彼女と連携をとりつつ、幹部らに助言を与えることになりそうだ。
11月の米中間選挙において、リフトは投票所までの割引乗車を提供し、過疎地域においては無料送迎サービスも実施しようとしている。