米当局、空港での「顔パス」促進 生体認証を本格化

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米国政府が、空港のセキュリティ検査に新たな生体認証システムを導入しようとしている。10月15日、米国運輸保安局(TSA)は、米国全土の空港の生体認証データの統合に向けてのロードマップを公開した。

当局は指紋や顔のスキャンデータを活用し、旅行客らが空港の保安検査場を迅速に通過できるようにしたい考えだ。このシステムの導入にあたりTSAは、まず税関国境警備局(CBP)と連携をとり、パートナー企業との提携を慎重に進めていく。

初期の段階で生体認証によるセキュリティチェックは、TSAが既に導入したPreCheck(TSAの事前審査プログラム)認証済みの搭乗者向けの検査に利用される。

現状で空港におけるアイデンティティチェックは、担当官らが手作業で写真のチェックを行っている。TSAは生体認証によるスクリーニングで、検査時間の短縮を狙っている。ただし、このシステムの導入に向けては、指紋や顔認証データの照合を行うインフラの構築を行う必要がある。

このインフラの整備は既に進んではいるが、現状では航空機の搭乗者の確認に用いられるケースが主であり、保安目的では利用されていない。デルタ航空は今年9月、CBPの協力のもと、アトランタ空港において生体認証技術を活用した空港ターミナルの運用を、年内に開始すると発表した。

アトランタ空港では、国際便の旅客はチェックインや搭乗の際に顔認証のオプションを利用できるようになる。顔データは国土安全保障省(DHS)が保管するパスポート写真のデータと照合される。同様な仕組みは今年6月にフロリダ州のオーランド国際空港でも導入され、国際線の搭乗者全員の照会作業を顔認識で行えるようになっていた。

TSAは今後、国際線以外の航空機の搭乗者にも、顔認証によるセキュリティチェックを導入していきたい考えだ。TSAが発表したプレスリリースによると、9月以降にTSA PreCheckに申請する、もしくはメンバーシップを更新する人は、写真の提出が求められるようになっている。

ただし、国内線も含めて顔認証システムを広く普及させるためには、政府と外部企業らが緊密な連携をとる必要がある。TSAは今後数年の間で、生体認証による照会作業を普及させていきたい考えだ。

編集=上田裕資

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