広範な販売経路を持つ酒類製造大手にとって、大麻成分を使った飲料製品の開発は非常に簡単だ。複数の酒類製造大手が今年、大麻関連企業に巨額の投資を行なっており、大企業が従来型商品を大麻と組み合わせることに強い興味を持っていることが示されている。
米国の酒類販売大手の中でも特に大麻に大きく賭けているのが、ビールのコロナやワインのモンダヴィなど人気製品で知られるコンステレーション・ブランズだ。同社はカナダの大麻製品メーカー、キャノピー・グロースに40億ドル(約4500億円)を投資。コンステレーション・ブランズの株価は、4月の20ドルからわずか半年で49ドル余りへと急騰した。
北米で今現在、企業戦略として大麻を議論していない企業は、早急に行動を起こさなければ好機を逃すだろう。大麻活用について少なくとも漠然と考えている企業は多くある。
米小売大手ウォルマートも今年初め、アメリカン・カナビス・カンパニー(American Cannabis Company)の混合土壌のオンライン販売開始を決め、急速に拡大する大麻関連市場に参入した。
同社は共和党寄りの考え方を持つ保守的企業であり、主流購買者層の機嫌を取らなければいけないことを考えれば、これは小さいながらも象徴的な決定だ。米連邦法では大麻が今も違法薬物として規制されているため、少しでも大麻に好意的な立場を示せばリスクが生じる。
ウォルマート・カナダは最近、さらに踏み込み、大麻製品を販売する可能性を検討していたことを明らかにした。大麻市場で現在、天文学的な額の利益を生み出している人気分野の一つは「カンナビジオール(CBD)」だ。
CBDは大麻から抽出される天然化合物だが、マリフアナ(乾燥大麻)のように向精神作用はなく、産業用のアサ(麻)から抽出されることが多い。米国で使用される産業用アサは、向精神成分「テトラヒドロカンナビノール(THC)」の含有量が0.03%未満と法律で規定されているため、使用者が感じられるほどの精神高揚効果は生じない。
CBDは現在、フェースクリームからコーヒー飲料、睡眠補助のためのチンキ剤など、さまざまな商品に使用されている。
ウォルマートの広報担当者、ダイアン・メデイロスは先週、ブルームバーグに対し「ウォルマート・カナダは、他の新たな業界への参入を検討する時と同様、この件に関して予備実態調査を行った。しかし、現時点でカンナビジオールを使用した商品を販売する計画はない」と述べた。