時代に合わせて新たな価値をもたらす日本の伝統工芸。京都から世界に新しい西陣織を発信する細尾真孝と「BMW 7シリーズ」。先進テクノロジーと融合したインテリアを持つ7シリーズは、ゲストもドライバーも主役にするラグジュアリーセダンだ。
前編はこちら>>>300年以上にわたり美を追求し続けることで、西陣織という伝統工芸を現代に継承し、未来に継ぐためのさらなる革新を、今なお求める細尾真孝。2017年に京都烏丸二条にオープンした会員制の宿泊施設「HOSOO RESIDENCE」は、ラグジュアリーな空間を備える宿泊施設であると同時に、モノづくりや食といった文化を巡る出発点としての役割も担っている。
HOSOO RESIDENCEのゲストは、専属の運転手が導くクルマのリアシートに身を委ね、向かう先々で、この地に根付く文化を心ゆくまで堪能することができる。さまざまな文化拠点を自在に行き来するため、12代目である細尾が選んだモビリティーが「BMW 7シリーズ」。BMWが誇るラグジュアリーセダンを選んだ理由は、この場所での体験をより印象的に演出するため。決め手は、その存在感にあった。
細尾は、「レジデンスを拠点に、いかにしてさまざまな場所をつなぐべきかと考えました。移動もまた、ここでの重要な体験の一部だからです。7シリーズは、5年、10年の時を経ても色褪せないタイムレスなデザイン。モノづくりや歴史に対するリスペクトも感じられます。自ら主張するというよりも、周囲の環境と調和し引き立てる、控えめで品がある存在感。文化をコネクトするモビリティーとして、エレガントなエクステリアと先進テクノロジーを取り入れたインテリアを持つ7シリーズがふさわしいと考えました」という。
HOSOO RESIDENCEで導入した7シリーズは、シートを西陣織に変更した特別仕様だ。細尾の西陣織は、世界で唯一の150cm幅を実現した逸品。9000本の縦糸を使い、構造を最大25レイヤーまで重ねることができる。立体を織りだけで成立させる、世界でもっとも複雑な構造を持つファブリックだ。
見る角度によって表情を変える西陣織の繊細な印象とは裏腹に、こうした構造や織り込む素材にシルクを用いていることなどから、クルマのシートに使うにも十分な強度を備えているという。それでいて、細尾が西陣織で追求するのは、目にしたときの美しさや手にしたときの感触にある。それは、どんなに先進のテクノロジーや斬新なアプローチをしても、けっして変わることはない。
BMW「740i DRIVER’S EDITION」のインテリアデザインについて尋ねると、細尾は「シフトノブなどの繊細なアルミのヘアライン仕上げに、高級感を感じます」と語る。アルミ加工に加え、上質なレザーを用いたステアリングやシートなど素材がもたらす高い質感と、運転支援システムや独自のジェスチャーコントロールといった先進のテクノロジーがひとつの空間として、見事に融合を果たしている。
先日、自らステアリングを握り「7シリーズ」で伊勢神宮を訪れた細尾。快適なグリップをもたらすリムと両手親指の輪郭に合わせたサムレストを備えたレザーステアリング。ドライバーの視線の先には、運転に必要な情報を投影するヘッドアップディスプレイを備える。シフトノブはアルミのヘアライン仕上げ。「素材感や加工の繊細さに高級感を感じる」と細尾。直感的に操作できる「iDriveコントローラー」を搭載。タッチパッドを使えば、指での文字入力などが可能。京町家をリノベーションしたHOSOO RESIDENCEもまた、外装は100年以上前の町家の意匠を残し周囲の環境と調和を成すが、大胆に手を加えた工芸作品のような内装によって、足を踏み入れると特別な空間を体感できる。空間を彩るのは、細尾の西陣織はもとより、飛鳥時代から伝わる伝統的な左官技術を用いて完成したエントランスの土壁など、「工芸建築」というコンセプト。館内では、光の移り変わりや時の経過を感じながらそこに滞在するだけで豊かな時間を過ごすことができる。
先日、自らステアリングを握り伊勢神宮に出かけた細尾さんは、改めてドライバーとしても7シリーズの魅力を実感したと振り返る。細尾を継ぐ以前、ミュージシャンとしても活動していた12代目は、普段の忙しさのなかで聴けていなかった音楽に心を委ねた。伊勢までの約2時間、往復300kmほどの道程を、こう振り返る。
「静粛性が高く、まるで座禅や瞑想をしているときのように、音楽に集中できたことが印象深かったですね。慌ただしい毎日に自分の存在を取り戻してくれるような貴重な時間。運転中は日々の忙しさを忘れ、時間の流れ方も変わったと感じました」と細尾さん。一方、落ち着きの中にあって、未来を感じるような瞬間もあったという。「外観はモダンで品がありながら、テクノロジーが詰まった未来を感じさせるインテリアのコントラストも魅力的」と続ける。
音源を忠実に再現し、豊かで美しいサウンドが包み込む車内空間。ボリュームなどオーディオやエンターテインメントの操作が、ステアリング周りのスイッチで直感的に行えるところも気に入ったと細尾は言う。7シリーズは、ゲストに快適な体験を提供するだけでなく、ドライバー自らも主役となれるラグジュアリーセダンでもあるのだ。
光を受けて表情を変え、手を触れると音を奏でるインスタレーション左/2016年に開催したデヴィッド・リンチとのコラボレーション展に展示したのは、70mもの西陣織を使ったインスタレーション作品。デヴィッド・リンチの作品「SPIRAL」を中心に、作品から感じる、ひとつの物事の「表裏」「正悪」といった二面性を西陣織で表現した。右/ミラノサローネ2017に出展したのは、西陣織でできたスピーカー。西陣織の生地に織り込まれた金銀箔がセンサーとなり、手を触れることで音を奏でる。BMW 740i DRIVER’S EDITION
「740i M SPORT」をベースに、陰影を際立てる特別色「シンガポール・グレー」や、Mモデルのエンブレムとストライプを配したブラック・ダコタ・レザー・シートなどの特別仕様を用意したラグジュアリー・セダン。全長5110×全幅1900×全高1480mm。2997cc直列6気筒DOHCエンジン。車両本体価格12,320,000円。
ほそお・まさたか◎細尾常務取締役。マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボ・ディレクターズフェロー。1978年西陣織の老舗、細尾家に生まれる。大学卒業後、音楽活動やジュエリーメーカーを経て2008年細尾入社。手がけた西陣織がクリスチャン・ディオールの店舗内装を飾ったことを機に、活動領域を広げる。
HOSOO RESIDENCE コンシェルジュデスク
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