美容業界とSDGs、ラッシュの入浴剤がすごい理由

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こうした商品が効果を発揮するのか、はたまたコストに合うのかなどという、細かいことは別として、やはりこういったことを、世界で最初に始めることにより大きな話題ともなり、企業の価値も見えてくるような気がする。他社が躊躇しているうちに、商品デザインでプラスチック問題を可視化していて、素晴らしい取り組みだと思う。

余談を言えば、高級ジュエラーのティファニーはこの夏、金属製のストローを発売して話題となった。250ドルという高額で誰が買うのかわからないが、欲しい人はいるような気はするし、何しろそこには企業の姿勢も現れるし、話題性がある。
 
環境問題に取り組む「雪肌精プロジェクト」

さて、日本の企業でも、東日本大震災あたりを境に、環境問題に関して意識が高くなってきたことは事実である。美容関連では、老舗の資生堂が各種取り組みで業界を引っ張っているが、コーセーの「雪肌精“SAVE the BLUE”プロジェクト」も注目を集めている。

このプロジェクトは、コーセーのスキンケアブランドである「雪肌精」の売上の一部を環境保護のために寄附し、環境保全や啓発活動に寄与するというもの。たとえば2017年は、対象期間中に購入された雪肌精商品の「底面積分」のサンゴを植えつける費用を、沖縄の有限会社「海の種」に寄付をした。

雪肌精ブランドを象徴するボトルの「瑠璃色」から連想される、ブルーの美しい海への願いを込めたプロジェクトで、2009年からスタートして、もうすぐ10年になる。この間、実際に、環境やサステイナブルに関心の低かった社員も、どんどんSDGsの研修に出ているようだ。

海洋国である日本としては、海に結びつけたこういったイメージを、海外への展開に向けても打ち出していけばよいと思う。そして、PRのイベントも、百貨店やショッピングモールでではなく、水族館や港などでやるのが効果的なのではないかとも思う。
 
最近、ハワイでは、日焼け止めクリームの成分がサンゴに悪影響を及ぼすということで、それに類する化粧品の規制法が成立し、世界でも話題となった。個人的には、ハワイで流れ出る日焼け止めクリームの量よりも、日本の湘南海岸や稲毛海岸のほうがその100倍くらい多そうな気もするが、知名度もありニュース性も抜群で、業界に与える影響も大きかった。

プラスチック問題をきっかけに、日本の美容業界でも、SDGsに対して何ができるのかという議論が盛んになってきている。ただ、世界の流れと比較すれば、そうこうしているうちに日本は環境後進国、美容後進国として取り残されかねない状況でもある。

美容とはファッションでもあり、情報の最先端でもある。環境問題への意識改革などが実現できれば、僕たちの業界も、美容というものを通して、多くの世代に意味あるメッセージを伝播していける気がする。

連載 : オトコが語る美容の世界
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文=朝吹 大

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