ビジネス

2018.10.16

これからが第二章 「モテのカウンターカルチャー」を創りたい|ハヤカワ五味

ファッションデザイナー ハヤカワ五味




組織の哲学観をつくる「お客様の喜び」の共有

──今後の成長に向けて、一番の課題は何でしょうか?

今一番手探りなのは組織作りです。

現状は女性メンバーしかいないのですが、男女関係なくフラットに会話できる組織にしたいと思っています。漠然としたことですが「出産しました」「結婚しました」といったことを、いち早く言ってもらえるような組織にしたいなと思っています。

その上では、「評価基準が会社を作る」というくらい、誰をどう評価するかを大事にしています。そのために今意識していることとしては、結果と責任の所在をはっきりさせることです。

私みたいな、ある意味「目立つ社長」がいると、商品が売れてもどうしても「社長がすごい」と言われてしまうことが多い。でも私はデザイナーじゃないので、商品が売れたら本来それは開発したデザイナーのおかげなんです。なので、私に届いたお客様からの反響はスタッフに意識的に還元しています。そうすることで、「この成果はあなたのおかげ」という、会社としての評価軸の見える化ができてきました。

──ブランドの哲学を維持する上では、組織内の価値観共有も重要だと思いますが、その点はいかがでしょうか?

「お客様の喜び」をとにかく共有することで、チームの哲学観を揃えるようにしています。

私はこの考えの大前提として「お客様が必要とし、喜ぶところにお金が発生する」という考えがあります。騙してとるお金よりも、妥当に良いと評価してもらって頂けるお金の方が、最終的には多くなってくるはずです。

最初から哲学観が一緒の人はほぼいません。「この商品に対してこういう喜び方をする人がいるから、次回はこうしてみよう」といった、日々の「お客様の喜び」の共有を積み重ねることが、会社の哲学観を揃えていく方法だと思っています。



上手くいくリーダーの共通項

──リーダーシップをとる上でのコツをお教えください。

「最終形態と、そこから逆算したマイルストーンを伝えること」です。

リーダーと大衆という対比で見ると、リーダーに従う人たちのモチベーションのほとんどは「無駄なことをしたくない」「途中で壊したり繰り返したりしたくない」ということです。

上手くいかないリーダーの特徴は、「とりあえず作ろう」と言って、ゴールも伝えず全力でスタートし、その後上手くいかないと急に方向転換をする。そうすると「無駄なこと」「壊したり繰り返したり」が多発します。メンバーもフラストレーションが溜まり、チームの足並みは揃いません。

一方で、上手くいくリーダーは、指示を出す前に、目指すべき最終形態から逆算して「無駄がないか」「途中で巻き戻しがないか」を考えて行動を設計していると思います。

私も、何かプロジェクトを進める際には、まず最終的に目指す形をメンバーに伝えます。そして、そこから逆算して、今何をしてほしいかを伝えるようにしています。もし、作ってみないと分からないという場合でも、最初に「やり直す可能性」を伝えることで、メンバーのモチベーションを削がないように気をつけています。

また、ブロジェクトの全体像が共有できていれば、今やっている作業の重要度も明確になります。私は「これは手を抜いてもいい作業です、無理しないでください」とか「これは本気でやりたい作業です、期待しています」と、取り組みに対する意識も細かに伝えるようにしています。

あと補足ですが、インセンティブ設計も重要です。例えば、「早く終わったら帰れる」といったことを伝えることで、チームのモチベーションを上げることができます。

まとめると、「最終形態と、そこから逆算したマイルストーンを伝えること」と、「インセンティブ設計をすること」がリーダーには求められると思います。そうすることで、メンバーはモチベーションが湧きますし、自発的に次のアクションも考えてくれるようになります。
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文=村上岳 提供元=Venture Navi powered by ドリームインキュベータ

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