これらのうち、1種類はすでに食品には使われなくなっていることから、添加物として使用を認める物質を記載したFDAのリストから削除されている。現時点でリストに含まれているものの中で禁止の対象となるのは、ミントやかんきつ類、シナモンの香りをつけるために使われている次の6種類の物質だ。
ベンゾフェノン、アクリル酸エチル、オイゲノールメチルエーテル、ミルセン、プレゴン、ピリジン
例えばベンゾフェノンは朝食用シリアルやパン、焼き菓子、冷凍乳製品に、プレゴンはミントやチューインガムの香料として使用されている。
FDAによると、食品に使われるこれらの物質の量は「ごくわずか」だ。だが、米非営利団体の米公益科学センターなど複数の団体が使用禁止を求めた嘆願書に含まれる実験データに基づき、今回の決定を下したという。
発表文でFDAは、「香料として使用される場合についてFDAが行った暴露評価では、これらの物質に公衆衛生上のリスクがあるとの結果は得られなかった。だが、嘆願書を提出した団体の動物実験のデータによれば、大量のこれら物質に暴露された場合においては、発がん性が認められた」と説明している。
これらの団体が2015年にFDAに提出したラットを使った実験データによると、ベンゾフェノンの摂取と白血病、組織球肉腫、腎臓や肝臓の障害が発生する割合の上昇には関連性がみられた。この結果を受けてFDAは、ベンゾフェノンを(紫外線吸収剤として)プラスチック製の包装材に使用することも禁止する。
これらの物質を香料として使用している食品メーカーには、2年後までに代替となる添加物を見つけ、新規則に順守することが求められている。その間は天然のミントやシナモン、かんきつ類を使用することが推奨される。対応を迫られる企業の数は、多数に上るとみられている。
すでに対応の企業も
米食品大手クラフトフーズは2016年から、主力製品であるマカロニ&チーズの「イージーマック」に人工の原材料を使用していない。同社がこれを決定した当時は同様の対応を取る他社の例があまりなかったこともあり、大きな話題となった。
人工の原材料を天然のものに変更すれば、生産コストは高くなる。つまり、メーカーとしては利益が減るということだ。
当時ライフスタイル・メディアのスリリストに掲載された記事には、「天然の原材料は価格が高く、コストは大幅に増加する。企業としては、利益率が下がることを受け入れるか、販売価格を引き上げるかのどちらかしかない」という食品業界が専門のコンサルタント会社、テクノミックの見方が紹介されていた。