仕事に意義を見出す3つの方法

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「毎日、大きな石を丘の上まで押し上げているような気分。もう疲れた。何のためにこんなに大変な仕事をしているのだろう」。私の管理職向けコーチング業のクライアントは最近、半ばあきらめたような口調でこうぼやいた。

多くの人にとって仕事は単なる収入源であり、充実感は仕事以外で得るものだと私たちは考えている。しかし、仕事に何時間も費やした後には、ほかのことをするエネルギーは残されていない。

仕事に意義を見出すことは自分の健康と仕事に良い効果があるということは多くの調査結果で示されているにもかかわらず、ギャラップによる調査では、働く人の約70%が仕事にエンゲージメント(思い入れ)を持っていないという結果が出ている。多くの人は、給料や福利厚生を確保するために仕事を続けているのだ。

私のクライアントもまた、今の仕事を辞める心構えはできていない。彼は、どうすれば仕事が有意義なものになるかを模索している。以下に、私がクライアントの会話の中で仕事に意義を見出すために話し合った3つの方法を紹介する。

1. その瞬間の意義を見つける

今この瞬間の意義を見出すことの重要性を示す、ひとつのエピソードがある。ある土曜の朝、私は銀行へ現金を下ろしに出かけた。ATMで引き出せる限度額以上の現金が必要だったが、銀行の窓口は閉まっていた。どうしようかと考えながら立ちつくしていると、年配の女性が近寄ってきた。アトランタの暑い夏の日に、彼女は銀行まで歩いてきたのだ。

彼女もまた、銀行が閉まっているのを見てがっかりしていた。私は自分の携帯電話を忘れて来てしまっていたが、彼女は持っていたので、土曜日でも開いている銀行の支店を探すことにした。そこから3キロぐらいの場所に1軒見つけたので、私は彼女に車で一緒に行きましょうと提案した。

車に乗り込むと、彼女はワンダと名乗り、自分の状況について話してくれた。彼女は、エモリー大学付属病院の救急センターから歩いてきたという。夫はがんを発症し、化学療法の合併症もあり、ホスピスケアを受けていた。夫からは、生命維持装置を外すよう頼まれたという。夫は自発呼吸ができていたものの、ここ数日は何も食べられない状態だった。彼女は娘2人に、父親に最期の別れを告げるためアトランタに戻ってくるよう伝えた。

私は、悲しい気持ちになると同時に、この出会いに感謝した。彼女との出会いは運命のめぐりあわせに思えた。彼女を救急センターまで送ると、私たちはハグをして別れた。その時私は、自分には意義があると感じた。

助けを必要とする人の役に立てた瞬間、人は意義を見出すことができる。多くの人は、キング牧師やネルソン・マンデラのように、自分が一生を捧げられる壮大な目的を探し求めている。多くの人がその目的を見つけられればよいのだが、そうした壮大な目的をやみくもに探そうとすることは危険だ。意義を感じることのできる日常のささいな瞬間を逃さないようにしよう。感謝の気持ちを感じた時、その瞬間にあなたは既に意義を見出したのかもしれない。
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編集=遠藤宗生

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