とはいえ、プラスチック容器やストロー、ペットボトルを、私たちの生活からいきなりなくすのは正直、難しい話です。できることなら少しでも地球に優しい生活を送りたいですが、一体どこから手をつけてよいのやら……。
そんな中、先日、「コーヒーとプラスチックのこれから」というコーヒーや飲食関係者を中心としたスタディーイベントが開催されました。
美味しいコーヒーとパンを片手に、プラスチックゴミの問題について考えようという趣旨で、主宰は人気コーヒーショップFuglen Tokyo(フグレントウキョウ)代表の小島賢治氏。コーディネーターは東京でゴミゼロウィークを運営している中村元気氏、登壇者は国際環境NGOグリーンピース 石原謙治氏、東京農工大学 大垣多恵氏、レフェルヴェソンス 生江史伸氏という顔ぶれでした。
石原氏が現状をマクロな視点で伝え、大垣氏が所属する研究室のリアルな研究結果を報告、生江氏が食の現場で起こっている具体的な事例をあげながら、どう向き合うべきかを語りかけるという、まさにプラスチックゴミ問題を多角的に考察できる有意義なトークセッションでした。
海岸で見る大量のゴミは全体の5%
まずはグリーンピースの石原氏から、以下のような数字が共有されました。なんとも深刻な現実が浮き彫りになり、恐怖心を抱いてしまいます。
・1950年代から世界で生産されたプラスチックは全部で83億トン(ゾウ10億頭分)。
・海に流れ込むプラスチックゴミは年間最大1270万トン(毎分トラック一杯分)。
・世界の海では50%以上のウミガメが、プラスチック片を摂取している。
・タイでクジラのお腹の中から、80袋以上のビニール袋が発見された。
・東京湾のカタクチイワシの8割に、マイクロプラスチックが含まれている。
・日本近海のマイクロプラスチックは世界平均の27倍。
・日本の1人あたりのプラスチック包装の廃棄量は、アメリカに次いで世界第2位。
また、海岸で見る大量のゴミは、海に流出してしまったプラスチックのうちたったの5%。残りの95%は海面を漂ったり、海中や海底に残っているとのこと。われわれが目にするプラスチックで汚染された海岸の写真は、氷山の一角なのです。
海で見つかったゴミで一番多いのがタバコの吸殻。次いで、ペットボトル、ペットボトルキャップ、食品パッケージと続く。
もう一つ問題となっているのは、マイクロプラスチック。マイクロビーズと呼ばれる極小プラスチックは、歯磨き粉や洗剤、化粧品など、私たちの身近な生活用品に使われてきたものです。
「2016年くらいから人体への悪影響などが懸念され、現在は国内メーカーの多くが代替品に替えた状況なのですが、もともと1ミリ以下の極小プラスチックなので、海に流出してしまったものの回収は、ほぼ不可能でしょう」と石原氏は言います。