渡辺:私もその辺りは聞いている。それにYコンビネーターとA16Z(アンドリーセン・ホロウィッツ)のチャネル、エヌビディアがやっているAIポッドキャストは毎回逃さず聞いているな。
奥本:ポッドキャストはオンデマンドで聞けて便利なんだけど、ホストしている人が広告を読む率が最近増えてきたような気がするんだけどどう思う?
渡辺:そう? 私はむしろ、声優や広告を出している企業の人が語っている本格的に作られた広告の方が増えてきた気がしてるんだけど。いずれにせよ、オンライン広告の業界団体(Interactive Advertising Bureau、IAB)が出しているレポートによると、ホストが広告を読み上げる形式が3分の2で最も多いのだそう。
ただ、例えばウォールストリートジャーナルとかでは絶対読み上げないよね。メディアとしての公正さを保つために広告と報道の線引きをきちんとさせるためだと言っていた。
奥本:確かに。中立な立場であるべきジャーナリストがポッドキャストで広告読み始めるとすごく違和感を感じるもの。
奥本:ちなみに同じくIABのレポートによると、ポッドキャスト広告市場は2017年に3億1400万ドルで前年比86%増。2020年には6億5900万ドルという予測になってる。
渡辺:まだ小さいけれど毎年倍々ゲームで増えている、という感じの市場だよね。
奥本:ポッドキャストの制作会社も結構ベンチャーキャピタルから資金調達している。昔からあるHow Stuff Worksという人気ウェブサイトがポッドキャストも始めて、去年8月に1500万ドル調達してた。
渡辺:Gimletという16個のポッドキャストを運営しているベンチャーはこれまでに2億8500万ドル出資を受けてる。ストーリーテリング系のWonderyという会社も3月に500万ドル調達した。
奥本:ポッドキャストの収入源は、広告以外に何があるのかな?
渡辺:少ないけれど有料購読もある。ファンがアーティストを金銭的にサポートするパトリオン(Patreon)というサイトを使うのが最もメジャー。パトリオンのポッドキャスト・カテゴリーで一番稼いでいるのは2万人以上のパトロンがいて、月に9万7810ドル収入があると書いてある。
奥本:それって、月の収入が1千万円以上ということよね。素晴らしい。どんなポッドキャスト?
渡辺:Chapo Trap Houseというポッドキャストなんだけど、パトリオンで購読すると、毎週エピソードが聞けてバックナンバーも全部聞ける。購読していないと隔週でしか聞けないようになってる。みんな色々考えるね。
奥本:どんな内容なの?
渡辺:3人でやっている政治色の強いコメディ。コメディって国際色豊かすぎて中々国境を越えられないカテゴリーなんだよね。長年のアメリカ生活で、かなりアメリカの笑いがわかるようになってきてSaturday Night Liveなんかは楽しめるんだけど、このポッドキャストはいまいちわからない。
ものすごくアメリカっぽい、ということだけはよくわかった。ちなみに、コメディはポッドキャストで一番人気があるカテゴリーでもある。