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2018.10.16

ポッドキャストは新しいメディア? 米国で急成長しているワケ

Tero Vesalainen / shutterstock


奥本:ポッドキャストはどんな風にこれまでのメディアと違うんだろう?

渡辺:大体皆ヘッドフォンをつけて聞いていると思うんだけど、その環境で語りかけられるのが、まずひとつ、すごく新しい感じがするんだよね。

奥本:確かに、対談形式ものなんかは特に、その場で語りかけられているような気がするよね。すごく距離感が近いと言うか。

渡辺:カーラ・スィッシャーが言ったんだけどポッドキャストのファンってすごく親近感を持ってくれて、出会うとハグされんばかりの勢いなんだって。

奥本:そうそうその感覚だよ。自分に語りかけてくれているという感覚。親近感わくのよね。あと自分の興味のあるポッドキャストを聞いているので、頷いたり、「そうなんだ〜」と思わず受け応えしたり、受動的に聴くというよりも、より能動的に聴いている感じがする。

渡辺:ポッドキャストのHOW TOサイトに、なるべくテーマを狭く設定するのが成功のコツと書いてあったんだけど、ニッチなターゲットを対象にしているものがたくさんあるよね。

奥本:確かにニッチなものがたくさんあるよね。“オタク渡辺”として好きなニッチなポッドキャストって何?

渡辺:最近は暗号通貨の深海に沈んでて、Unchainedという元々フォーブスにあったポッドキャストとEpicenterというのを過去の分も含めて聴きまくった。Unchainedは2016年からなんだけど、Epicenterはすでに300回近くあるので全部は遡れてないけど2年分くらいは聞いたかな。

奥本:それはかなりニッチだね。あと、私が好きなのはインタビュー関連のポッドキャストかな。編集していない生の声を聞けるのは面白い。おもわず本音も飛び出すし。インタビューする側の手腕によって、話題の人物のさまざまな側面をうまく引き出していることも多く、本当に聴きごたえがある。

渡辺:仕事だとポッドキャストでテック業界の最先端の話が聞けるというのがすごく役に立つ。文章だと、本人が書いてくれるか、その領域をよくわかっている記者が書かないと意味のある内容にならない。でも最先端で働いてる人は忙しいからなかなか時間をかけて文章にしてくれたりしないし、本当の最先端を理解できる記者は少ない。

ポッドキャストだと生の声をそのまま伝えられるから、今起業中のアントレプレナーとか最先端の研究者の旬の話が聞ける。前述のA16Zだと最先端の起業家の話が聞けるし、エヌビディアのではAIの最前線の話が聞ける。コンピュテーショナル・バイオロジーとか量子コンピュータの話など、もろもろね。

奥本:確かに、起業家だけでなく、AI、ブロックチェーンなど話題の分野のエキスパートの方々の見解や本音がタイムリーに聴けるのってすごく魅力的よね。

渡辺:これまでそういう話を聞く場は展示会だったと思うんだけど、アメリカの展示会ってものすごく参加費が高くて40〜50万円という値付けのものがたくさんある。それがポッドキャストだと無料で聞けてしまう、というすごいことが起こっている。最先端の情報を集めるメディアの新しい形として、これからも注目したいね。

連載 : 誰も知らないシリコンバレーの裏事情
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文=渡辺千賀、奥本直子

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