アックマンが率いるヘッジファンドのパーシング・スクエア・キャピタル・マネジメントは、スタバの発行済み株式のうち約1.1%に当たるおよそ1500万株を取得した。その主な理由としてアックマンは、以下の点を挙げている。
「スタバの既存店売上高はこのところ伸び悩んでおり、株式市場でのパフォーマンスも芳しくはない。だが、それでも同社は“世界で最も素晴らしい企業の1社”だ。また、中国での成長潜在力は、同社に大きな推進力を与えると考えられる」
ニューヨークで同日に開催された投資情報誌「グランツ・インタレストレスト・レート・オブザーバー」の会合で「ドッピオ(2杯分のエスプレッソ、の意味)」と題して講演を行ったアックマンはその中で、同社に関する次のような見解を示した。
「スタバの中国事業の利益は世界全体と比べた場合、2倍近い速さで増加すると見込まれる。同社の利益全体に占める中国事業の割合は、ますます大きくなっていくだろう」
「スタバは向こう4年間に中国国内の店舗数を倍増させる計画だ。中国での事業規模は、いずれ米国を上回ることになるだろう」
アックマンはそのほか、スタバはコーヒーショップというカテゴリーの「支配者」になり得るとみている。品質の高さと、「ユニットエコノミクス」で事業の経済性を評価した場合の米国市場での見通しが明るいためだ。
米国では新店舗のEBITDAマージンが約30%、税引前ROIC(投下資本利益率)が約65%だ。そして、中国の店舗はこれらを上回る可能性があるとみている。こうした見解が、同社に対するアックマンの強気な見方を後押ししている。
また、米国では最低賃金の引き上げに対する圧力が高まっているが、アックマンによればスタバはその点について、すでに十分な対応ができているという。しっかりとした給与体系を構築しており、エントリーレベルの仕事の賃金でも、50州全てにおいて最低賃金を上回っている。
スタバの株価は年初来ほぼ横ばいだが、アックマンはそれについては問題視していないもようだ。株価の低迷は一部に、創業者であるハワード・シュルツ会長の退任の影響を受けているとみている。さらに、既存店売上高の低迷は「修正可能」であり、ケビン・ジョンソン最高経営責任者(CEO)率いる現在の経営チームが打ち出している対応策は、“楽観的な材料になる”との見方だ。
スタバは「歓迎」
「物言う」株主と評されるアックマンが自社の新たな株主となったことについて、スタバは発表文で「歓迎する」と述べている。さらに、同社の広報担当者はフォーブスに対し、次のように語った。
「株主たちと活発な、また積極的な対話を持つことは、われわれの戦略的アプローチに重要な意見や情報を提供してくれるものと考えている。長期的な株主価値の向上につながる建設的なフィードバックを重視している」
「全ての株主に対してそうであるのと同様に、生産的な対話を続けていけることを楽しみにしている」