放送作家・脚本家、「くまモン」の生みの親。


ハワイ在住の日系人のために

実は、来年3月、ハワイで歌舞伎が公演される。題して「2019ハワイ大歌舞伎─日系移民150周年─」。ハワイに初めて153名の日本人が移り住んだのは1868年で、今年(2018年)は日系移民150周年となるわけだ。

では、なぜ歌舞伎なのか。毎年1月初旬、ハワイ日本文化センターでホノルル日系人商工会議所の新年会が開かれるのだが、餅つきや太鼓演奏、出雲大社によるお清め、食事の後に待ってましたとばかりに行われるのが「商工白浪五人男」。実際に師匠について発声や身のこなしを学んだ選ばれし商工会議所メンバーが、丁髷姿で歌舞伎風の衣装に身を包み、番傘片手に歌舞伎の口調で自己紹介をするのだという。日系移民の人たちにとって歌舞伎は、日本文化との大切な接点、ルーツや遠い記憶を呼び覚ますスイッチなのかもしれない。

この公演に詳しいのにはワケがある。約1年半前、雑誌『pen』の連載「人間国宝の肖像」にて長唄豊後節三味線方の鳥羽屋里長(りちょう)さんにお会いしたとき、直々に「息子に会ってくれませんか」と頼まれた。聞けば、里長さんは1964年にハワイで初の歌舞伎公演開催に尽力した方であり、息子の鳥羽屋三右衛門さんは約50年ぶりのハワイでの歌舞伎公演を考えているのだとか。興行制作者ではない一演者が日本とハワイの日系人との架け橋となって奔走する。その姿勢に心打たれた僕は、僭越ながら理事を引き受けることにした。

日時は2019年3月2日~6日と8日。場所は竣工時から花道設置機能を保有するというハワイ大学ケネディー・シアターと、ホノルルコンベンションセンター。出演は中村芝翫、中村橋之助、中村福之助、中村歌之助ほかで、すでに演目も決まっている。ハワイという場所で節目の年を祝うために上演されるホンモノの歌舞伎は、これ以上ないくらいのサプライズと感動を双方に与えるに違いない。

いまふと思いついたのだが、協賛のJALさん、せっかくだから機内非常用設備の案内ビデオを、歌舞伎をテーマにエンタテインメント作品として制作するのはいかがでしょう? ニュージーランド航空は映画『ホビット』をテーマに制作し、実際に映画のキャラクターを登場させ、世間をアッと言わせました。東京オリンピックに向けて、こういう仕掛けも楽しいと思うのですが。

イラストレーション = サイトウユウスケ

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