ビジネス

2018.10.12

事件から1年半、ユナイテッド航空CEOが語ったリーダーシップ

ユナイテッド・エアラインCEO オスカー・ムニョス(Getty Images)


4つのコアは、優先順位順に、「安全性」「思いやり」「頼りがい」「効率性」だ。このシンプルで、誰でも理解できる言葉で、すべてが変わったと言う。「安全性」が真っ先に来るのは当然だが、次には「思いやり」を考えなくてはならない。

すると、皆がそう考え始めた。ムニョス自身でさえ、あらゆる決断の際に「よしこれで安全だ、さて、では思いやりはあるかな?」と考えている自分に気がついたそうだ。

「基準を設けたのはよいことだった。例えば飛行機のドアをいつ閉めるか、という大問題。常に遅刻してくる乗客はいるものだが、一方で機内ではすでに300人の乗客が『早く行けよ』と思っているわけだ。そんなときにこのルールはとてもよい基準になっている。乗客は本当に色々な人がいて、例えば『なぜ子供を私より先に載せるんだ!』と本気で文句を言ってくる人もいる。そういう人への対応もやりやすくなった」


ユナイテッド航空のオスカー・ムニョスCEO (c)Getty Images

ムニョスの話で、会場がもっとも大きな拍手に包まれたのは、ユナイテッド航空が、知的障害がある人のスポーツの祭典「スペシャルオリンピックス」にインクルーシヴ・パートナーとして協賛をしていると明かした時だった。

「我々は働いている中でいろいろな人と接する。そして、多くの人々が、ひと目では分からない障害を持っている人に対して、いかに厳しい判断をしてしまうかを始終目の当たりにする。そういうものを少しでもなくしていきたい」とムニョスは語った。

「確かに、そうかもしれない……」会場の誰もがなんとなくそう思ったのだ。

これも、ムニョスの魅力的な話しぶりがあったからではあろう。しかし、その語りを聞いて、「そういえば最近ユナイテッドに乗っていないから、今度、乗ってみようかしら」そんな気分にさせるセッションだった。

会場の誰もが「一体何を語るのだとう」と思っていた彼は最後、ほんとうに大きな拍手で送り出された。

文=武井涼子

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