ビジネス

2018.10.08 12:00

BoxとDropboxのどちらが上か、そろそろ決着をつけよう


──ボックスにあって、ドロップボックスにない機能を教えてください。

いくつも挙げられます。たとえばライフサイエンス企業なら、クラウド上でのデータの取り扱いをめぐって、コンプライアンスに関する特定の基準を満たさなければなりません。現在、業界でそれに対応しているのはボックスのみです。また金融サービス企業なら、データのログやレポート、分析など、データの使用に関してもっとコントロールがほしいと考えるでしょう。その点についても、ボックスはより高度な機能を提供しています。
 
われわれには政府機関の顧客もたくさんいます。ボックスはFedRAMP(オバマ政権下の11年に発表された、連邦政府共通のクラウドサービス調達のセキュリティ基準)に対応していますので、政府機関と取引関係にある大手企業もクラウドで業務をこなすことができるのです。これらはわれわれが提供する先進的な機能の一部にすぎません。

──コンプライアンスが最大の差別化要因ということでしょうか?

セキュリティ、コンプライアンス、そして大企業のニーズに特化した「機能の深さ」。この3つが際立った違いだと考えています。
 
以上はプロダクト面の話ですが、そのほか、サービス面でもドロップボックスとは大きく異なります。われわれは、顧客と一緒に仕事しながら変革のお手伝いをするコンサルティング部門をもっていますし、エンタープライズ向けの営業部隊もはるかに大きい。つまり、製品の特長だけでなく、それを提供するためのサービスから組織体制まで、すべてがエンタープライズ向けに設計されているのです。

──コンシューマ市場で成功したドロップボックスは現在、エンタープライズ市場の攻略を目論んでいるようです。ボックスが逆に、コンシューマ市場に参入する可能性は?

コンシューマ向け市場は、彼らに譲りますよ(笑)。われわれは、むしろエンタープライズ向けにもっと「深い」領域を追求しようとしています。セキュリティやコンプライアンス、さらにはデータレジデンシーやデータプライバシー、データ暗号化サービスなど、大企業のニーズに対応した、より高度な機能を開発しています。われわれとしては、コンシューマ向け市場は、グーグルやドロップボックス、マイクロソフト、アップルなどが競い合っていくのが望ましいですね。


アーロン・レヴィ◎Boxの共同創業者兼CEO。1984年生まれ。2005年、南カリフォルニア大学在学中に友人らと同社を創業。当初は消費者向けサービスだったが、早い段階で法人向けに戦略を転換し、業績を急拡大。15年、ニューヨーク証券取引所に上場。現在8万5,000社以上が採用(日本の顧客にはトヨタや日本航空、富士通、帝人、資生堂など)。レヴィは、メディアへの積極的な情報発信で知られるほか、15年よりスタンフォードGSB(ビジネススクール)で起業論を教えている。

文=増谷 康 写真=ヤン・ブース

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