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2018.10.09 07:30

ブラジルのスラム化を止めた男が目指す、誰もが家を持てる社会

MRV Engenharia e Participações会長 ルーベンス・メニン

当時21歳だった青年が起業した理由。それは、多くのブラジル人にとって実現不可能な夢があると知ったからだった──。


BRICsという言葉がある。2000年代以降の成長著しい国を総称するこの単語の先頭「B」が示すのがブラジルだ。2億人を超える人口を持ち、日本の22.5倍の国土面積を誇るこの国は、これからの成長性が益々期待されている。しかし、4000万人近くいるといわれる貧困層や政治不安、そして、潜在的に意識されるインフレ圧力と、課題はいまだ色濃く残っている。

そんなブラジルにまたひとりのヒーローが生まれた。

モナコで世界トップの地位を争い、46の国と地域から集まる56人の各国の代表たちを含む761人の中から、18年の世界ナンバーワン起業家に輝いた男。その名も、ルーベンス・メニン。ブラジルのMRV ENGENHARIA E PARTICIPAÇÕES(以下MRV社)の創業者であり、現会長だ。ルーベンスは、1979年に住宅建設・不動産会社であるMRV社を創設、今や販売戸数では南米最大、そして、低所得者向けの住宅建設会社ではブラジルトップの企業に成長させた。

ルーベンスが起業した70年代、ブラジルは都市のスラム化が問題になっていた。彼はこの課題を解決するため、より手頃な価格の不動産を提供することで、100万人以上のブラジル国民がマイホームを持つという夢を叶えることに成功した。その秘訣はイノベーションにある。MRV社は経済的で柔軟性があり、さらにサステナブルな建設方法であるコンクリート壁工法を取り入れることによって、これまで必要だった平均12人の建設作業要員を3.5人にまで削減。また、4階建て16戸の集合住宅建設ならば、わずか10日間で完成できるようにもなった。

「生涯を通し、家を持つことが叶わぬ夢だと思っている人々に家を持つ喜びを届けることを理念としてきた」という氏。「私たち起業家は、お金を生み出すことだけではなく、社会を発展させることも経済的エンパワーメントになると信じています」。

この想いを世界に広げていく。世界の頂点に立った男の言葉には、そんな熱意が込められていた。


ルーベンス・メニン◎1979年に設立された南米最大の不動産開発・住宅建設会社MRV Engenharia e Participações会長。150以上の都市で事業展開、約30万戸の不動産物件を建設。従業員は2万4000人以上を有する。

文=Forbes JAPAN編集部

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