このうち、アップルの従業員らが個人的に行ったクリントンへの献金は、合計180万ドル以上だった。同社のティム・クック最高経営責任者(CEO)はクリントンのために組織された「Hillary Victory Fund(ヒラリー勝利基金)」に23万6100ドルを寄付していた。
一方、トランプ陣営がシリコンバレーで集めた資金は、これをはるかに下回った。アップルの従業員による寄付は合わせて6786ドル。トランプの選挙活動資金は総額3億4400万ドルだったことから、「丸め誤差」に入る金額だった。
献金に関するこれらの情報は、選挙活動に関する調査や関連データの収集・分析を行うGovPredict(ガブプレディクト)が10月3日に公表したもの。同社はシリコンバレーのアクセラレータ、Yコンビネータが出資するスタートアップだ。
シリコンバレー vs. トランプ
GovPredictは選挙活動に関連して提出された書類などに基づき、企業の従業員が個人で行った政治献金について調査。9月にはアマゾンとアルファベットの従業員が2004年以降に行った政治献金に関する結果を発表した。それによると、両社は従業員の90%以上が、民主党の候補とその活動などに寄付を行っていた。
このほど公表された調査結果によれば、アップルの従業員もこれら2社と同様、大半が左寄りだ。寄付の91%が、民主党に対して行われていた。2004年以降、民主党の候補者とその掲げる目標の実現のために寄付された金額は、総額567万9870ドルに上っている。一方、共和党への寄付額は、58万7354ドルだった。
こうした調査結果は、互いへの批判を強めるトランプ大統領とシリコンバレーの関係を改善に向かわせるものではないだろう。大統領はこのところ、検索結果として表示される内容が政治的に偏っているとして、グーグルを攻撃している。自らに対して好意的な情報を表示しないようにしているというのだ。また、フェイスブックについては、「共和党と民主党の主張に対して差別的だ」と主張している。
GovPredictのイミル・ピットキンCEOはフォーブスに対し、一連の調査結果は個別の企業の政治的立場ではなく、地域・地理的な政治的傾向を反映したものだと説明している。
「カリフォルニア州以外に居住している(アップルの)従業員に限定した調査結果では、個人が行った政治献金のうち、民主党向けは76%だった。カリフォルニア州の住民による献金は、90%以上が民主党に対して行われていることから、これらの間には大幅な差があることが分かる」