ビジネス

2018.10.05

マイケル・コースがヴェルサーチ買収で狙うもの

マイケル・コース(Photo by Dimitrios Kambouris / Getty Images for Michael Kors)


買収でコングロマリットへ

マイケル・コースは買収の発表と同時に、社名を「カプリ・ホールディングス」に変更することを明らかにした。同社は欧州のファッション業界大手が取り入れてきたマルチ・ブランド戦略をまねたい考えであり、その実現に向けて昨年、英高級靴ブランドのジミー・チューを約12億ドルで買収した。さらに、高級ファッション・ブランド、コーチの親会社であるタペストリーの買収も目指していると伝えられている。

ヴェルサーチに加えてコーチも傘下に収めることができれば、マイケル・コースはフランスの高級ブランドグループ、LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)の競合相手となる可能性もある。

ただし、マイケル・コースが自社の株主らに対し、さらなる買収事業の妥当性について納得してもらうのは難しいかもしれない。過去に取った拡大路線のおかげで、値引き販売の実施を大幅に増やさなければならない状況に陥ったためだ。

そのほか、ヴェルサーチのようなブランドがコングロマリット傘下の1社になった後にも、その個性や特徴を維持できるかどうかは疑問だとの見方も多い。大企業であるコングロマリットは、ブランドのアイデンティティ以上に利益を重視することもあるからだ。

ただ、ディオールやグッチ、イヴ・サンローランなどのビッグネームは、ケリングやLVMHといったコングロマリットの傘下に入ることで、経営を安定させてきた。投資家やコングロマリットの支援を得れば増益の可能性は高まるものの、それらの影響下に置かれることなく事業を継続しているブランドは、シャネルやフェラガモ、バーバリーなど少数になっている。

編集=木内涼子

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