これは決して新しい問題ではない。昨年の夏、アップルは月額8万ドルを課金する詐欺アプリをストアから削除していた。アップルは当時、このようなアプリを注意深く監視すると宣言したが、同様なアプリは今もストアに残っている。
「TinyLabというデベロッパーがリリースした『QR Code Reader』というアプリはユーザーをだまし、年間156ドルも払わせようとしている。このアプリは米国のアップストアで現在、売上218位にランクインしている」と語るのは、筆者が以前執筆した詐欺アプリの記事を読んで連絡をくれたJulie PlumbというiPhoneオーナーだ。
「リストをチェックしてみるとTinyLabはこの手法で莫大な金額を生み出していることが分かる。彼らは詐欺的アプリで数百万ドルもの売上を得ている」とPlumbは述べている。
筆者もこのアプリをダウンロードしてみたが、アプリを開くと大きな文字で「START(日本語版は『開始』となっている)」と書かれたボタンがある。そこには非常に小さな文字で価格情報が記載されている。そして、ボタンを押すと即座に支払い確認のスクリーンが表示され「3日間は無料。その後は毎週3.99ドルが永続的に課金される」と記載されている。
Plumbはユーチューブで公開した動画で「これは非常に巧妙に設計されたアプリで、利用者の意思に反して課金に応じさせる仕組みになっている」と述べている。
「ほとんどのユーザーはスタートボタンを押すと、アプリを無料で使えると考えるが、このアプリは即座に課金の了承ボタンに飛ぶ。パニックになったユーザーはついホームボタンを押してしまうが、指紋認証式の端末の場合はこれが課金の了承ボタンになっている。つまり、その3日後から毎週3.99ドルが永遠に課金されるのだ」
Plumbはさらに、このアプリの説明文が、意図的に勘違いを起こさせるものになっている点を指摘している。一読すると、課金は一度のみと読み取れるが、実際は週ごとの継続課金になっているのだ。
App Annieのデータでは、TinyLabの QR Code Readerは米国のアップストアの売上げランキングの235位に入っている。これは、Electronic Artsが製作したNBAのゲームアプリよりも良い数字だ。
Plumbは同様な手口で詐欺的な課金を行うアプリが他にもあることを突き止めた。下記にそのうちの5アプリの名前を公開する。
Weather : (天気カテゴリで売上5位)週あたり4.99ドル、年間260ドルを課金。
BINANCE Crypto : 年間169.99ドル。
Crazy Ringtones : (ユーティリティカテゴリで売上4位)週あたり49.99ドル。年間2600ドル。
ArmorVPN : (ユーティリティカテゴリで売上5位)週あたり9.99ドル。年間520ドル。
Color Call-Theme Screen : (ユーティリティカテゴリで売上12位)、週あたり49.99ドル。年間2600ドル。
上記の「BINANCE Crypto」というアプリは仮想通貨取引所の「BINANCE」を連想させるが、全く無関係なアプリだ。