トヨタは今年のレース活動で「最も成功の年」を飾れるか

WRCで、優勝に向かって トヨタ・ヤリスが飛ぶ



アメリカのNASCAR選手権の1位の座を保持するカイル・ブッシュ選手がトヨタ車に乗る

まず、今年のルマン24時間レースにトヨタが初優勝し、WRCでは今現在、豊田章男社長が自ら牽引するGazoo Racingのワールドラリーチームがトップを維持しているし、アメリカのNASCARでは、トヨタチームのカイル・ブッシュ選手がランキング1位をキープして王者に一直線。

また、日本のスーパーフォーミュラ選手権では、歌手・近藤真彦氏のチーム、近藤レーシングが操るトヨタのマシンがトップの座を保持している。

実は、トヨタのモータースポーツがここまで成長し、複数のカテゴリーで同時に優勝できるようになったのは、豊田社長の功績と言える。本人はモータースポーツが大好きで、自らレクサスLFAやIS-Fのハンドルを握ってニュルブルクリンク24時間レースに参戦したこともあるし、日本国内のラリー選手権にも参加してきている。

ルマン優勝にとても満足しており、NASCARのブッシュ選手も応援しているけど、豊田社長が一番好むカテゴリーは、今までトヨタが最も成功したWRCワールドラリー選手権だ。

だから、ラリーチームに一番力を入れて、社長みずから欧州のラリー会場で時間を費やし、しかも表彰台にも登っている。ここまでたどり着けたのには、複数の重要な鍵があった。1つは社長が4回のWRCで、欧州ラリー界の大物トミー・マキネン選手との友情を深めたこと。彼の凄いコネを通じて地元フィンランドでチームを結成し、優勝候補のタナック選手など優秀なドライバーを採用。


国内ラリーなどに参戦したこともある豊田社長が優勝候補のタナック選手とマキネン監督とWRCの表彰台に登る

しかも、今までF1、ルマン、かつてのラリー車のエンジンやエアロパーツの開発をしてきたトヨタ・チーム・ヨーロッパとタイアップ。そして、最後の鍵はラットヴァラ選手の起用だ。

彼はステアリングやサスペンションの微妙なチューニングが得意で、初期段階でライバルに負けていたヤリスが徐々に速くなり、いまでは優勝候補にまで成長した。

豊田社長は、もちろんトヨタチームに優勝してほしいけど、「一番大切なのは、ラリー車などのモータースポーツから一般車への性能的、安全的なフィードバックが重要だ」という。

それでも、今年トヨタがルマン、WRC、NASCAR、スーパー・フォーミュラなどで優勝できたら、そしてその栄光で、人気薄の日本のモータースポーツ界に、少しでも元気と人気を注入することができたら、どんなに素晴らしいことだろう。

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」 過去記事はこちら>>

文=ピーター ライオン 写真提供=トヨタ自動車

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