どれも大きなニュースだが、それらを上回って、一般人の関心を独占しそうなのは、今年のトヨタのモータースポーツの成績だと思う。どう見ても、2018年は今までで最高の年になりつつあるからだ。
すでにご存知のとおり、6月のルマン24時間レースで念願の初優勝を果たし、WRC(世界ラリー選手権)ではついに年間チャンピオンの優勝争いの段階まで成長した。さらに、アメリカの名門NASCAR (ナスカー)でも、トヨタが今、チャンピオンシップに向かってランキングの1位をキープしている。これだけの異なったレースのカテゴリーで同年にトップ争いをするのは初めてだ。
もちろんトヨタは、各国で F1、ラリー、WEC、ナスカー、インディカー、スーパーGT、スーパー・フォミュラーなどに参戦してきている。これまでは、その中で大成功があったり、失敗もあったりだった。
トヨタがルマン24時間レースに初優勝を飾る瞬間
たとえば、90年代初頭、 WRCでトヨタは5回ほどマニファクチャーズ(メーカー)のトロフィーも獲得し、ドライバーのタイトルを3回ゲットした。それに対して、2002年から2009年まではF1に参戦し、莫大な資金を費やしたものの、一回も優勝できなかった事実は、僕の欧米の同僚の間でもかなりひんしゅくを買った。
とはいえ、 実はトヨペット・クラウンが豪州一周ラリーに日本車として初参戦した1957年から、トヨタには輝かしい歴史がある。1966年にはトヨタ2000GTがスピード・トライアルで3つの世界新記録を達成した。1968年にはトヨタ7が日本GPにデビューし、1984年はトヨタ・セリカでサファリ・ラリーで総合優勝を飾った。
2002年はローラ・トヨタがアメリカのCART選手権にダブルタイトルを獲得し、2003年にはGフォース・トヨタが同国のIRLインディ500に日本メーカーとして初制覇を果たした。しかし、今までこのような優勝はバラバラで、一年に複数のタイトルをとることはできなかった。2018年までは、ね。
ところが、今年、トヨタ車はとにかくすごい勢いで各カテゴリーの1位を争って優勝候補になっている。だから、今年はこれまでのトヨタのモータースポーツ史上「最も成功の年」になるのではないか。欧州、アメリカ、日本などの選手権で、トヨタ車がチャンピオンになる可能性が強いのだ。