為替の専門家であるターガート・マーフィーはこうした危険な状況について、次のように説明している。
──米国はどんなものでも、欲しいだけ“借用する”ことができる。だが、トランプはそれを終わらせるためのあらゆる手を尽くしている…ドルは現在、国際通貨として広く定着しているが、そうでなくすること(結果として、米国が何でも好きなだけ借用できる力をなくすこと)が任務だったとしても、それを実現する方法は全く明らかになっていない。
──誰でもまずは、トランプと全く同じことを試してみるだろう。全ての同盟国にけんかを売り、景気が回復し、活況を呈しているときに財政赤字を大幅に膨れ上がらせ、財政責任という概念を捨て、オバマ前政権が実現したイランとの核合意を尊重しようとする全ての人を制裁対象にすると脅す(そのため、米国の銀行制度を迂回してビジネスを続けるための何らかの方法を探してほしいとあらゆる人に懇願する)。
そして、構造的に生産する以上に消費し、結果として会計の原則に従い、貿易赤字と財政赤字の双方を抱えざるを得ない米国のために何を目指すのかを明示することもなく、世界貿易の歯車を狂わせるのだ。
米国の覇権の終わり?
この貿易戦争においては、当初は米国が優勢を保つだろう。だが、最終的には世界中の国が、米国を避けるための新たなパイプを敷設することになるだろう。そうなれば、米国は優位性を失うことになる。かつての覇権国である英国に起きたのは、それと同じようなことだ。
中国が虐待的な行動を正し、トランプが関税を撤廃することを希望する。中国側にも、そうすべきだとの見方がある。大半の中国人が、そう考えている。