ビジネス

2018.10.05

ネットフリックスが何より重視する、コンテンツへの飽くなきこだわりとは?

コーポレートコミュニケーション ディレクターの松尾崇


新たなエンタメの楽しみ方として新たなジャンルを築きたい
 
ここ数年でHulu、Amazon Prime Video、AbemaTVといった競合もライセンス契約の締結、オリジナルコンテンツの制作にも力を入れ、存在感は増してきている。ネットフリックスは、同業他社をどれくらい意識しているのか。
 
「我々は『エンターテイメントの形を変えていきたい』という思いを持ってコンテンツをつくっています。社内の様々なミーティングでもふと思うのですが、不思議なくらい、競合他社がどんな作品を揃え、何をしているかはさほど気にしたことがありません。それよりも一緒にSVOD(サブスクリプション型ビデオオンデマンド)の世界を盛り上げていきたい。

例えとして、私たちがよく言っているのは、オンラインストリーミングサービスによって映画館やDVDレンタルショップが廃るわけではないということ。私も気になる映画が公開されたら必ず映画館に行きますし、レンタル開始されたらDVDレンタルショップに行きます。エンターテイメントの世界は奥行きの広いビジネスであり、誰が勝ったら誰かが負ける、というものではないくらい豊かなビジネスだと思っています。」

とくにかくユーザーのことを第一に考え、ひとりでも多くの人が「見て良かった」と思える作品をつくる。ネットフリックスは、常にこの思いを持ってコンテンツに向き合い続けている。
 
松尾によれば、コンテンツの制作は各国のオフィスに一任されているという。
 
「どういうコンテンツを制作し、配信するのか。チームで議論を尽くしますが、各国にすべて任されているので、日本では今後ますます、独自に優れたクリエイターとのネットワークを構築したり、優れた原作者、優れた制作チームと連携したりして、よいものを作っていく考えです。」
 
新しいコンテンツをつくりたい。そして多くのひとに観てもらいたい。その情熱は、社内のチャレンジングな風土があるからこそ生まれるものだと松尾は言う。
 
「社内で『This is my bet』という言葉を聞かない日はありません。いままで日本で見られたことのない作品かもしれないし、結果もやってみないとわからないけど、これだったら賭けてみる価値はあると思う、だからやってみようと。毎日たくさんの議論を重ねながら、たとえ全員の賛成を受けていなかったとしても、賭けてみる価値があったら賭けてみる。そんな現場の思いからコンテンツは生まれていっているのです」

文=園田菜々 写真=若原瑞昌

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