米加州、女性役員登用を義務化 割当制は効果があるのか?

米カリフォルニア州のジェリー・ブラウン知事(Photo by Alex Wong/Getty Images)


どちらが正しいのか? 欧州の事例

企業の役員会に対して男女平等を義務化したのはカリフォルニア州が初めてではない。西欧諸国でも、役員会に関連した性別割当制度が導入されている。2003年に初めて同種の制度を導入したのはノルウェーで、役員の40%は女性でなければならないとされた。ノルウェー企業の役員会で女性が占める割合は新法制定前には9%だったが、法律施行後には44.2%になった。

割り当てにより、企業の役員会において女性の占める割合は確実に増えたものの、それ以上の効果はなかなか確認できない。女性CEOや経営陣の女性の人数に関しては、あまり高い成果が挙がっていない。英経済誌エコノミストによると、ノルウェーの大企業の中で女性がトップを務める企業の割合はわずか7%で、過去数十年間にわたりほぼ横ばいだ。

割当制度は、女性の出世にもあまり効果的ではないようだ。こうした制度を導入したフランスやドイツ、オランダでは、女性上級管理職の割合は近年ほとんど変わっていない。また、男女間の賃金格差も縮まっていない状態だ。

企業の利益に関してはさまざまな調査結果があるが、女性を役員会に登用することで利益が増すという実質的な証拠はない。

一方で、役員会の質が下がることを懸念する必要はない。企業が、適任の女性役員候補を見つけられないことを示す証拠はほとんどないからだ。実際に、33%の比率割当制度を導入したイタリアでのある調査によると、同国の大企業の女性役員は、制度の開始前に採用された人よりも専門的な学位や経歴を持っている確率が高かった。

結論

割当制度の導入により、カリフォルニア州の企業における性差別が全て解決することはないだろうが、その必要はない。新法により女性役員の数は確実に増える見込みであり、私にとってはそれで十分だ。企業の利益が増えたり給与の性差が縮まったりすることはないかもしれないが、それでもかまわない。

カリフォルニア州では男女平等を真剣に考えない企業はお断りだという強いメッセージを送ることができ、それだけでも価値があるからだ。

編集=遠藤宗生

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